2020 Fiscal Year Research-status Report
数理的・計算科学的に適切な長時間プレート沈み込みシミュレーション手法の開発
Project/Area Number |
18K18797
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
堀 高峰 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 海域地震火山部門(地震津波予測研究開発センター), センター長 (00359176)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2022-03-31
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Keywords | 準拠楕円体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、数百万年を超える地質学的時間スケールでのプレート沈み込み現象を数理科学・計算科学の知見を活かして適切に計算できる手法を構築するとともに、その結果を地球物理学的時間スケール(数百年以内の巨大地震の繰り返し発生等)の計算での初期条件・境界条件に取り入れることを可能にすることである。そして、このような数理的・計算科学的に適切な問題設定での解析・計算を積み重ねることで、巨大地震の発生やその準備過程等の地殻活動のモニタリングと予測を、ここまでは最低限の数理的・計算科学的根拠があると示した上で社会に情報提供できるようにすること、さらに、その基盤となる数理計算固体地球科学分野を確立することが、本研究の最終的に目指す目標である。本研究によってそのための端緒を開くことを目指す。 本年度は、数理計算固体地球科学のベースとなる考え方として、GNSSのデータ解析で用いられている準拠楕円体そのもので地殻変動のフォワード計算をする(つまり投影による歪みの無いgeometryでの計算)ことを提案した。その考え方にもとづいた、東北日本と西南日本を対象とした全国一次地下構造モデルをベースにした3次元地下構造不均質を考慮した、有限要素モデルを構築し、断層での変位のくいちがいによる地表変位のグリーン関数計算を行った。この考え方は世界の他の地域や全球に対しても適用できるものであり、固体地球を対象としたデジタルツインを構築する際の基礎になる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度、本課題の研究開発にエフォートを割けるよう業務体制を改善したことにより、数理計算固体地球科学の基礎となる考え方の提案はできたものの、懸案となっている長時間沈み込みの定式化課題解決には十分な時間を割くことができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
研究を1年間延長し、今年度から同じ部局に加わった新たな研究協力者を含めた研究協力を得ることで、半無限媒質で実現されている長時間沈み込みの運動学的な手法を、昨年度導入した準拠楕円体の場合に適用する方針で取り組む。
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Causes of Carryover |
業務体制を改善したものの十分ではなく、多忙により、予定していたコード開発を順調に進めることができず、これにもとづく役務実施には至らなかったため。次年度は新たな研究協力者の協力によって研究を加速し、本年度提案した数理計算固体地球科学の基礎となる考え方を応用する際に役務を実施する。
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Research Products
(1 results)