2018 Fiscal Year Research-status Report
マイクロ熱検知素子と格子パターン融合による熱収支検出型高精度変位計測の新原理創出
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18K18798
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
清水 裕樹 東北大学, 工学研究科, 准教授 (70606384)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | 熱収支場 / エンコーダ / マイクロパターン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,自己ジュール発熱により微小間隙に安定熱収支場を生成してその変化を高精度に検知するマイクロ熱検知素子を用い,高精度マイクロパターン(スケール)の3次元形状を読み取ることで,超コンパクトな形態での高精度・多軸変位計測を実現する「マイクロ熱収支場検知式エンコーダ」の基礎原理を確立することである.熱検知素子およびスケール格子パターン3次元形状を踏まえた微小間隙間熱収支場の学術的モデルを確立し,これをもとに最適化設計した熱検知素子とマイクロパターンスケールによりエンコーダプロトタイプを構築して超コンパクト・高安定な形態での多自由度変位検出を実現し,精密位置決め技術に革新をもたらす. 本提案の基礎原理確立には,熱検知素子-スケールパターン間に発生する熱収支場の理論的解析モデル構築,熱収支場モデルに立脚した素子・スケールの最適化設計,装置プロトタイプ構築と実験による提案手法の妥当性評価が必要である.初年度である平成30年度は,修正レイノルズ方程式に立脚し,空気の自由分子行程をパラメータとして導入したエネルギー方程式をもとに,スケールパターンの3次元形状,熱検知素子温度,およびスケール-素子間隙量を主なパラメータとしたマイクロ熱収支場の解析計算による微小間隙間熱収支場の理論モデル化を試みた.また,フォトリソグラフィプロセスを用いてガラス基板上にマイクロ熱検知素子を試作し,マイクロパターン群を有する回折格子と組み合わせてマイクロ熱収支場検知式エンコーダのプロトタイプを構築して原理検証実験を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定どおりにマイクロ熱収支場の解析計算を行うとともに,次年度に実施予定であったガラス基板上へのマイクロ熱検知素子試作まで検討を進められたことから,おおむね順調に進展しているものと判断している.
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Strategy for Future Research Activity |
2年目となる31年度は,前年度に試作したマイクロ熱検知素子を用い,安定マイクロ熱収支場検知式エンコーダプロトタイプの構築と実験的原理検証を進める.フォトリソグラフィプロセスの最適化によりガラス基板上への多素子マイクロ熱検知センサの試作をすすめるとともに,構築したマイクロ熱収支場検知式エンコーダのプロトタイプをもとに多素子出力をベースとするスケール内挿手法の構築を試みる.また,多素子マイクロ熱検知センサの信号処理回路についても低ノイズ化を測り,測定分解能の向上を試みる.
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Causes of Carryover |
初年度である2018年度は大学内の設備でのセンサ試作を優先して進めたため,次年度への繰り越し額が生じた.差額分はセンサ試作外注費に充当する予定である.
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