2018 Fiscal Year Research-status Report
Development of Mechanical Nano-ferroelectrics induced by nanoscale strain field of lattice defects
Project/Area Number |
18K18806
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
北村 隆行 京都大学, 工学研究科, 教授 (20169882)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
澄川 貴志 京都大学, 工学研究科, 准教授 (80403989)
嶋田 隆広 京都大学, 工学研究科, 准教授 (20534259)
|
Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
|
Keywords | 格子欠陥 / ナノひずみ場 / 強誘電性 / マルチフィジックス特性 / 第一原理解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
強誘電(圧電)材料は、ナノ機械要素や高密度記録デバイスなど次世代科学技術の基幹を成すが、それらの実用化には精密に形状制御されたナノサイズでの機能保持が重要な課題である。特に、ナノサイズの強誘電材料では自由表面が形成する反電場が支配的となることで臨界ナノ寸法を境に強誘電性が消失することが指摘されている。一方、研究代表者らは格子欠陥が有する固有のナノひずみ集中場がナノ~原子スケールの強誘電性を発現させることに気づいた。さらに、欠陥構造やひずみ集中場の特性に依存して、従来の直線状とは異なる特異な強誘電性が現れる可能性がある。これにより、新たな技術革新が期待できるが、その特性や発現機構は解明されていない。本研究では、欠陥構造とその固有ひずみ集中場に依存して発現するナノ強誘電特性を評価・解明することを主目的とする。 初年度は、特定の結晶方位に回転操作した二枚の単結晶板を重ね合わせた後、一定の圧力をかけて高温拡散接合を行うことで、刃状転位が周期的に配列した構造をSrTiO3に導入した試料を作製した。作製した試料から、集束イオンビーム(FIB)加工装置を用いて欠陥を有する領域を切り出すことで、ナノサイズの試験片を作製した。透過型電子顕微鏡による観察により、設計どおり刃状転位が周期的に配列した構造が作製されていることを確認した。さらに、欠陥と周囲のひずみ場を再現した大規模な量子力学解析を実施するため、欠陥の原子構造ならびにひずみ場に関する実験結果を参照した原子構造モデルを作成し、量子力学解析を実施するためのプログラムならびに計算環境の構築を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度実施予定項目は、欠陥をナノレベルで制御して導入したナノ試験片の作製ならびにその観察と、メカニズム解明のための大規模量子力学解析のモデルならびに計算環境構築であり、これらの項目はすべて実施し、それぞれの目的を達成している。したがって、本研究は当初予定どおり順調に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究は順調に進展しており、今後の研究の推進方策も当初予定した以下の項目について実施する予定である。 (1)欠陥を配列したナノ試験片に対するその場観察負荷試験の実施と欠陥周囲のひずみ集中場評価観察、(2)大規模量子力学解析による欠陥周囲のひずみ場の解析、(3)同ひずみ集中域で生じる強誘電特性評価、(4)ひずみ-強誘電性のマルチフィジックス特性評価。
|
Causes of Carryover |
計算データ圧縮プログラムにより、当初の予定より計算データの保存容量が少なく、これを保存するデータ機器が小規模になったため。一方、次年度の計算データは昨年度よりも大規模になる見通しであり、次年度実装する計算機器のデータ保存システムに充てる予定である。
|