2019 Fiscal Year Research-status Report
Challenge to create catalytic tool without any metallic elements
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18K18808
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
有馬 健太 大阪大学, 工学研究科, 准教授 (10324807)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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Keywords | グラフェン触媒 / 半導体表面 / 触媒アシストエッチング / トレンチ加工 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、カーボン(C)系の新材料である、グラフェンの化学的な触媒活性(酸化促進能)を活用した新たな概念に基づく、”化学触媒工具”を創出することである。そして、これを用いた表面創成プロセスを実証することを目指し、研究を進めている。 本年度は、昨年度までに合成した複数の異なるグラフェン触媒(市販の酸化グラフェン、強還元剤により化学還元を施した還元グラフェン、アンモニア溶液中での水熱合成を施した窒素ドープグラフェン)について、触媒加工実験中の耐久性を調査した。具体的には、これらのグラフェン触媒を半導体表面上にシート状で分散し、酸素ガスを含む溶液中に浸漬し、半導体表面の加工を行った。加工実験前後の触媒の原子構造(カーボンネットワークの状態)をX線光電子分光測定(X-ray Photoelectron Spectroscopy: XPS)により評価した。XPSスペクトルを解析した結果、特に酸化グラフェンについては、半導体表面との接触後に還元が進むことを確認した。次に、グラフェンシートを半導体表面上に膜状に堆積し、その膜を意図した形状に加工した後にエッチング液に浸漬することにより、グラフェン膜直下のエッチングが進行し、任意のトレンチ(溝)パターンが形成できることを明らかにした。現在のパターン幅は、数百μmと広いが、リソグラフィープロセスを最適化することにより、グラフェンシートのサイズと同程度のトレンチ幅(例えば、100nm以下)までは容易に形成できると予想される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
異なる手法を用い、還元の度合い、及び、異種元素のドーピング濃度やドーピングサイトなどの観点で、違った特徴の原子構造を持つグラフェンを形成する手法を獲得した。また、単に合成しただけでなく、触媒としての性能や構造安定性の違いについて、理解が深まった。加えて、グラフェン触媒を化学触媒工具として用いる第一段階として、パターン化されたグラフェン膜をテンプレートとした、半導体表面の溝加工実験にも取り組み、先駆的な結果を得た。そして、全く新しい加工技術としての可能性を示すと共に、解決すべき新たな課題を見出した。 以上により、おおむね順調に進展していると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度までに得られた成果をさらに発展させ、グラフェン触媒をパーツとして被加工材料表面上にパターン形成し、所望の領域を高い制御性で加工する、新しいマイクロ~ナノ領域の加工プロセスへと進めたい。これを実現するためには、分散性に優れたグラフェン触媒と分散溶液の組み合わせを検討すると共に、グラフェン膜をパターン化するためのリソグラフィープロセスの最適化を進める必要が有る。またこのような加工実験は、グラフェン/被加工材料間で進行する電気化学的な素過程の解明にも繋がると期待される。 これらを遂行することにより、本研究で最終的に目指している、グラフェン触媒を搭載した化学触媒工具による表面創成プロセスの実証へと繋げていきたい。
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Causes of Carryover |
当初予定していた実験用の消耗品について、周辺の遊休物品を有効活用した。そのため、新規に購入する必要がなくなり、次年度使用額が発生した。一方で、今年度終盤に、材料費(グラフェンインク、半導体基板)や電気化学測定関係の消耗品に不足が見られ始めた。今年度に残った助成金については、翌年度分と合わせて、消耗物品の購入やクリーンルーム設備の利用料として使用する予定を組んでいる。
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Research Products
(12 results)