2018 Fiscal Year Research-status Report
大電流容量を有する革新的カーボンナノチューブ金属複合配線材の創製
Project/Area Number |
18K18814
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
川田 宏之 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (20177702)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒尾 与史彦 東京工業大学, 物質理工学院, 助教 (40449335)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | カーボンナノチューブ / メッキ / 導電率 / ドーピング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では優れた電気的特性を有するカーボンナノチューブ(CNT)紡績糸の作製を目的としている.CNT紡績糸は,化学気相成長(CVD)法によってシリコン基板上に垂直に規則正しく成長したCNTフォレストからCNTを連続して引き出し,それを撚り合わせることで作製される.本研究ではCNT紡績糸の配向性を改善するために,微細径の円筒状のダイスにCNTを通すことで,撚り角のないCNT紡績糸であるCNT無撚糸を作製し,従来のCNT紡績糸よりも優れた電気的特性を得た. CNT無撚糸は電気的特性を向上させる余地があり,電気的特性を向上させることで,従来の配線材料の代替が期待される.このことから,本研究ではCNT無撚糸に対してキャリア導入のためのドーピング処理やCNTの高純度化を目的とした熱処理,金属との複合化などを行ってきた.その結果,導電率3.83×107 S/m,電流容量7.58×108 S/m2と従来のCNT糸より優れた電気的特性が得られた. 本年度はより優れたCNT無撚糸を作製することを目的として,一塩化ヨウ素(ICl)ドーピング処理,熱処理の二段階で処理したCNT無撚糸への金属との複合化を行った.IClドーピング処理を施すことでCNT無撚糸の内部までICl分子が付着し,CNT無撚糸内部の空孔を充填させるとともにドーピング効果が表れることを確認した.また,ドーピング処理を施すことで半導体性CNTの性質が金属的に変化することが示唆された.熱処理を施すことでCNT無撚糸の不純物や構造欠陥が改善されることで電気的特性が改善されたことを確認している.これらの二段階の処理を施したCNT無撚糸に対して銅との複合化をメッキ処理で行い,従来の銅複合化CNT糸よりも電気的特性が向上することを確認している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では優れた電気的特性を有するCNT無撚糸の作製を目的としている.本年度までに,CNT無撚糸と銅との複合化におけるメッキ条件の検討や熱処理や高密度化処理条件の検討と様々な処理を行っており,CNT無撚糸の電気的特性を向上させている.当初の計画通りにCNT無撚糸の電気的特性の向上に成功しており,研究の進捗状況としておおむね順調といえる.現在はIClドーピング処理条件の検討を行っている.また,異なるドーピング処理方法を検討しており,今後さらなる電気的特性の向上を目指す. また,CNTは温度上昇に伴い導電率が向上することや,高周波特性に優れていることから,ドーピング処理や熱処理,銅との複合化を施したCNT無撚糸に対して評価を行い,CNTの優れた特性を発現させる.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度までに,CNT無撚糸の電気的特性を向上させる手法として,ドーピング処理を行いドーピング効果が得られることや,CNT無撚糸内の空孔を充填する接触抵抗の改善させること,CNT無撚糸の構造欠陥の改善が効果的であることを示した.本年度はさらなる電気的特性の向上を目的として,IClドーピング処理の条件の検討および様々なドーピング処理方法の検討を行う.また,そのCNT無撚糸に対して,従来本研究で行ってきた知見をもとに,熱処理や高密度化処理,電界メッキ処理の最適条件の探索を行う. IClドーピング処理ではCNT無撚糸にICl分子を付着させ,キャリアを導入し電気低特性を向上させる手法であるが,ICl分子の付着量を様々な処理条件を変更して行い制御し,付着量と電気的特性の関係を明らかにする.また,これらの処理を施したCNT無撚糸の温度上昇に伴う電気的特性の評価や高周波応答を測定する.これらを通してドーピング処理を施したCNT無撚糸の知見を得ることで,さらなるCNT無撚糸の電気的特性の強化を行う.
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Causes of Carryover |
2018年度に消化しきれなかった助成金に関しては,2019年度の研究費として合算して使用する予定である.
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Research Products
(2 results)