2018 Fiscal Year Research-status Report
腸内環境の生理流体力学:過敏性腸症候群の病態メカニズムの革新的理解
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18K18817
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
今井 陽介 神戸大学, 工学研究科, 教授 (60431524)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | 消化器系バイオメカニクス / 計算バイオメカニクス / 計算力学 / 数値流体力学 / 電気生理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
過敏性腸症候群と呼ばれる疾患では,炎症や潰瘍がないにもかかわらず下痢や便秘,腹痛などの症状が現れる.小腸や大腸の消化管運動の異常により,腸内容物の輸送・吸収機能が低下し,また腸内細菌叢が変化することが原因であると考えられている.しかしながら,現在の医用イメージング技術では,腸内の輸送現象を可視化することができず,結果として,この疾患の病態メカニズムは十分明らかになっていない.本研究の目的は,我々の数値流体力学とオークランド大学の電気生理学の統合的解析を用いて,過敏性腸症候群の病態メカニズムに,力学的視点に基づく革新的な理解を提供することである. 平成30年度は,ヒトの腸に対する医用画像データに基づき,実形状のヒト腸管モデルを構築し,分節運動に対するヒト腸管運動モデルを構築した. また,これまでに開発した胃内容物流動の数値流体力学モデルを応用し,腸内流動の数値流体力学モデルを開発した.多緩和時間格子ボルツマン法に基づく固気液混相流の計算手法をGPUに完全実装したものであり,独自に開発した適合格子サブドメイン法を適用することによって,ヒト腸管運動モデルに対する腸内容物流動の計算が可能となった. 病態も含めた小腸の運動,大腸の運動のモデルを多く構築するため,オークランド大学と連携し,小腸および大腸の運動に対する多極電極マッピング解析を進めており,中心的な検討課題に関する議論を開始している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実形状のヒト小腸内の数値流体力学計算は過去に例がない困難な課題であるが,それに着手できているため.
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Strategy for Future Research Activity |
オークランド大学と連携し,小腸・大腸の運動に関するデータの取得およびモデルの構築を強化する.
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Causes of Carryover |
次年度使用額は,今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額である.平成31年度請求額とあわせ,平成31年度の研究遂行に使用する予定である.
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Research Products
(2 results)