2018 Fiscal Year Research-status Report
酵素固定化ナノマイクロ構造体を用いた生体分子機械加工技術の創出
Project/Area Number |
18K18837
|
Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
寺尾 京平 香川大学, 創造工学部, 准教授 (80467448)
|
Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
|
Keywords | マイクロ・ナノデバイス / バイオテクノロジー |
Outline of Annual Research Achievements |
機械加工とは工具や工作機械を用いて素材を加工することである。本研究は素材としてこれまでの機械加工の概念になかった生体分子1分子をターゲットにした極限的な機械加工技術の実現を目標としている。独自技術である光駆動ナノマイクロ構造体による生体分子1分子の物理操作技術をベースに、ナノマイクロ構造体表面に様々な化学反応を触媒する酵素を固定することで、分子加工用の工具として利用する。研究期間内に本提案原理を実証するため、具体的にはDNA分子1分子へのピンポイントな分子鎖切断に取り組んだ。 半導体微細加工技術によって作製したナノマイクロメートルサイズの微小構造体に対して、表面に様々な酵素を固定することで微小工具として利用する。この微小工具はレーザーによりトラップされ、溶液中で自在に操作できる。構造体が接触した生体分子はその位置でピンポイントに酵素が触媒する化学反応により加工される。構造体の形状は任意に作製することができ、対象となる生体分子のサイズや形状、周囲環境に合わせてデザインすることができる。 具体的なターゲット分子として、これまでも物理操作の実績があることに加えて、生物学分野での重要な解析対象であることからDNA分子をターゲットとした。構造体は電子線描画装置によるナノ加工とUVリソグラフィによるマイクロ加工を組み合わせて作製した。構造体への酵素固定化にはこれまでに開発したプラズマ処理とクロスリンク処理を組み合わせた手法を利用し、本年度、目標とするDNA切断酵素DNaseによるDNA切断を実証した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
半導体微細加工技術によって作製したナノマイクロメートルサイズの微小構造体に対して、表面に様々な酵素を固定することで微小工具として利用する。この微小工具はレーザーによりトラップされ、溶液中で自在に操作できる。現在までに、構造体の作製技術は確立しており、また、酵素の固定化手法についても最適化の検討が完了した。構造体への酵素固定化にはこれまでに開発したUVオゾン処理とクロスリンク処理を組み合わせた手法を採用した。また、加工テーブルにあたる分子加工用のマイクロ流体デバイスを開発し、酵素固定化構造体を収容するためのツールストックチャンバーを有した効率的な加工環境を実現した。具体的なターゲット分子として、これまでも物理操作の実績があることに加えて、生物学分野での重要な解析対象であることからDNA分子をターゲットとし、目標とするDNA切断酵素DNaseによるDNA切断を顕微鏡下で実証した。
|
Strategy for Future Research Activity |
機械加工とは工具や工作機械を用いて素材を加工することであり、本研究は素材としてこれまでの機械加工の概念になかった生体分子1分子をターゲットにした極限的な機械加工技術の実現を目標としている。これまでに開発し、原理実証を達成した、酵素固定化光駆動ナノマイクロ構造体による生体分子1分子加工工具について、引き続き加工歩留まり等の評価を進め、技術の確立を目指す。要素技術として構造体のナノメートルオーダーへの微細化と多軸トラップによる姿勢制御に取り組み、また、これまでのDNA分子をターゲットにした加工に加えて、生細胞表面分子への加工を検討する計画である。
|
Causes of Carryover |
理由:当初2018年度に微細加工に関する内容について国際会議で発表予定であったが、バイオ応用に関するデータを追加し、2019年度に発表する計画に変更したため、未使用額が発生した。 計画:国際会議での成果発表のため未使用額は旅費に充てることとしたい。
|