2019 Fiscal Year Research-status Report
局部機能抑制と神経-筋モデル解析からひもとく線虫の筋運動生成メカニズム
Project/Area Number |
18K18839
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Research Institution | National Institutes for Quantum and Radiological Science and Technology |
Principal Investigator |
鈴木 芳代 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高崎量子応用研究所 放射線生物応用研究部, 主幹研究員(定常) (10507437)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
曽 智 広島大学, 工学研究科, 助教 (80724351)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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Keywords | マイクロビーム / C. elegans / マイクロチップ |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)イオンマイクロビーム局部照射実験 中枢神経(CNS)へのイオンマイクロビーム照射によって筋活動がどのように変化するのかを観察することを目的に,全身運動を担う体壁筋細胞の収縮・弛緩に伴って増減するカルシウムイオンをイメージングプローブで蛍光標識した遺伝子組換え線虫への局部照射を行った.実験では,量研高崎研のイオンマイクロビーム細胞局部照射装置を用い,線虫の頭に位置する神経環(CNSに相当)の直径約20 μmないし約60 μmの範囲を狙って炭素イオンビームを照射した.独自開発したPDMSマイクロチップ「Worm Sheet」を用い,照射中のみ線虫を直線状のマイクロチャネルに封入することで生理活性を損なわず照射中の動きのみ抑制した.CNS照射前後の線虫を動画像撮像して画像解析し,体の各部位の蛍光強度をもとにCNS照射が全身運動にどのような影響を及ぼすのかを解析した.一連の実験から,CNSとその周辺の筋細胞への局部照射直後には,線量依存的かつ照射面積依存的な全身運動の一時的な低下が観られること,及びこの運動低下は,体壁筋細胞への照射影響ではなくCNSへの照射影響を反映したものであることなどが示唆された.さらに,詳細にCNSの細胞への照射影響を調べるために,数個の細胞だけを狙って超精密なマイクロビームを照射する技術を開発し,照射に成功した. (2)線虫の神経‐筋モデルによる細胞機能推定 線虫の運動神経と筋細胞の実接続構造に基づいて構築した,実在の細胞と対応付けのできる神経‐筋モデルを用いて,特定の細胞の機能を不全にして機能推定する試みを行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度(平成30年度)は想定外の照射装置の故障改修のため,当初予定していた局部照射実験が実施できなかったが,本年度は実験を順調に進めることができ,前年度の実験の遅れを取り戻すことができたため.
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Strategy for Future Research Activity |
より発展的な局部照射実験を実施するとともに,これまでに得られた研究成果を学術論文としてまとめて発表する.
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Causes of Carryover |
本研究の成果をまとめた学術論文を投稿中であり,その発表費(掲載料等)の支出を予定していたが,査読の長期化により次年度使用額が生じた.当該論文の発表に係る費用に充当する.
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Research Products
(11 results)