2019 Fiscal Year Research-status Report
Fabrication of brain-inspired devices by control of Fe valence state in iron oxides
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18K18850
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
関 宗俊 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (40432439)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2022-03-31
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Keywords | パルスレーザー堆積法 / 酸化鉄結晶薄膜 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、室温で動作する革新的な脳機能模倣型の電子デバイスを開発することである。今年度は前年度に引き続き、パルスレーザー堆積法によりクラスターグラス磁性体薄膜を作製してその磁気特性を評価するとともに、クラスターグラス酸化鉄のp-n接合素子の作製を試みた。まずn型層酸化鉄として用いるCo(Fe,V)2O4およびCo(Fe,Ga)2O4薄膜を作製し、磁気測定によって、室温でクラスターグラス状態になっており、MCD測定によって、光照射によってグラス状態が融解し、磁化が増大する(グラスの光融解)ことが分かった。また、Co(Fe,Ga)2O4の磁気構造を研究する過程において、同様にPLD法によって作製したCo(Mn,Ga)2O4薄膜において、Mnの濃度の増大に伴い、キャリアタイプがn型からp型に変わることがゼーベック測定によって、明らかになった。今年度後半にはこれらのn型薄膜とp型酸化鉄(GeFe2O4, FeO1-x, Co(Fe,Mo)2O4)の接合素子の作製実験を実施したが、界面でのFeイオンの価数揺動状態を抑制するため、p型層とn型層を分離するための絶縁層(MgGa2O4)の導入が必要であることが分かった。しかしながら、この絶縁層を蒸着する際に、酸化鉄層へガリウムが拡散してしまい、素子特性が低下してしまうことが判明した。今後は絶縁層の作製条件を検討するとともに、接合素子の界面における結晶構造をより詳細に評価する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、室温で動作する革新的な脳機能模倣型の電子デバイスを開発することである。これまでに、室温でクラスターグラス状態を示す高品質な酸化鉄結晶薄膜を作製し、酸化鉄薄膜においてキャリアタイプの変調が可能であることが分かっている。これらの成果は磁性p-n接合素子の実現につながるものと期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の根幹を成す磁性酸化鉄p-n接合素子の形成過程において、p,n層を分離するための絶縁層MgGa2O4を蒸着する際に、ガリウムが酸化鉄層に拡散することが問題となっている。今後は、この絶縁層の作製条件を再検討するとともに、作製した素子の結晶構造を透過型電子顕微鏡を用いて、より詳細に評価する。
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Causes of Carryover |
エキシマレーザー用ガスの消費量を想定していたよりも抑えることができ、その購入費用が不要となった。また、素子形成の過程で絶縁層の作製条件を再検討する必要が生じ、その構造評価(透過型電子顕微鏡による界面観察、2019年度実施予定)を来年度(2020年度)に実施することになったため。
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Research Products
(9 results)