2018 Fiscal Year Research-status Report
Development of Magnetoplasmonic Membrane Sensors and Challenge toward Higher Sensitivity
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18K18851
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
清水 大雅 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50345170)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | 強磁性金属 / プラズモン共鳴 / 中空構造 / センサ |
Outline of Annual Research Achievements |
中空構造を含むプラズモンセンサを作製した。液晶パネルの作製プロセスを応用し、ガラス基板と金薄膜を製膜したシリコン基板を約2 umの隙間(中空部分)を形成して貼り合わせた。直径2 umのボールスペーサを混ぜた接着剤を用いて1 kgの重りを載せて加熱しながら貼り合わせた。2.4 cm x 3 cmの大きさのガラス基板とシリコン基板を貼り合わせる際の押し付け圧力の不均一さによって、中空部分の厚さが不均一となったことを試料表面の光の干渉縞から確認した。集光レンズと対物レンズ、カメラを用いて反射率の角度依存性を測定し、表面プラズモン共鳴を確認した。表面プラズモン共鳴現象は中空部分の厚さの違いによって変化することを確認した。 Al2O3(サファイア基板)/SiO2/Fe/Au構造を作製し、表面プラズモン共鳴の磁気変調特性を評価した。強磁性金属である鉄と金を組合せ、鉄の膜厚を増やしていったときの表面プラズモン共鳴を反射率の角度依存性の測定により評価した。反射率の磁気的変調を指標としてセンサ感度を評価したところ、鉄の膜厚が20 nmのときに最大となった。これは、鉄の磁気的変調と金のプラズモン特性、表面の凹凸による影響の兼ね合いが最適化されるためと考察した。上記研究はスペインのマイクロエレクトロニクス研究所のA. Cebollada, G. Armelles教授との共同研究の成果である。 センサをオンチップ化するためにシリコンスロット導波路光センサを作製した。簡易チャンバーを作成し、CO2とクリーンエアをテストガスとして流し、透過率の波長依存性の変化を観測しセンサ動作を実証した。センサ感度は300 nm/RIUとなった。デバイス付近に乱流を形成せずにチャンバーを形成しテストガスを流すことが重要であることがわかった。今後本研究課題遂行に活かす。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の中心となる、中空構造をもつプラズモンセンサの作製プロセスと基本動作の確認、強磁性金属と貴金属を組み合わせたセンサの基本構造の作製とセンサ感度への影響を考察することができた。よって本研究課題は現在まで概ね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
液晶パネルの作製プロセスを応用した中空構造を含むプラズモンセンサを改良する。具体的には、ガラス基板と金薄膜を製膜したシリコン基板を、フォトレジストを用いて接着し中空部分の厚さと基板の位置の対応関係を把握した上で表面プラズモン共鳴を評価する。ガスセンサとして動作試験するためにチャンバーを形成し、光学系を一体化すべく実装する。金薄膜表面に分子識別素子を製膜し、ガス分子を識別検知する。テストガスとして二酸化炭素、エタノール蒸気、匂い分子を用いる。年度後半で強磁性金属と貴金属を組み合わせた中空構造をもつプラズモンセンサを実証する。くさび型中空構造や磁気的変調効果を導入することによって従来のプラズモンセンサに対して100倍の増感を目指す。
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Causes of Carryover |
中空構造をもつプラズモンセンサを作製するために、液晶パネルの作製プロセスを応用した。同じ専攻に所属する飯村靖文准教授が液晶パネルについて研究しており、飯村研究室と共同で中空構造をもつプラズモンセンサ構造を作製した。そのため、貼り合わせ基板作製のための費用が当初を下回った。その他、これまでの研究活動で使用してきた近赤外線カメラ等を転用することでプラズモン共鳴を評価する等し、費用が当初を下回った。その結果、次年度使用額が生じた。今後はセンサ動作を実証するために光学系やカメラ、チャンバーを一体実装する予定であり、研究費を使う予定である。
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Research Products
(10 results)