2018 Fiscal Year Research-status Report
Development of thrombosis formation system by floating sphere type micro fuel cell
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18K18854
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
河合 晃 長岡技術科学大学, 工学研究科, 教授 (00251851)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 宗弘 長岡技術科学大学, 工学研究科, 教授 (20242456)
進藤 怜史 長岡技術科学大学, 工学研究科, 助教 (90826223) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | 燃料電池 / マイクロ / カプセル / 3次元光造形 / IoT / リソグラフィ / DMFC / 集積化 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、血栓対策として、生体内での帯電緩和技術が有効手段として注目されている。このような中で、持続発電可能な小型燃料電池の必要性が注目されている。燃料電池の小型化競争も顕著であり、数100μmサイズまで試作されている。しかし、発電セルと燃料供給システムを一体化した素子は、未だ報告されていない。単独動作可能なカプセル型燃料電池が切望される理由はここにある。本研究は、このような背景に基づき、数10~100μmサイズのカプセル内包型の小型燃料電池を作製し、アルコールやグルコースなど液体燃料環境下において自己発電することで、工業用微粒子や生体内細胞などの凝集抑制に効果的な機能を発揮するシステムの開発に挑戦する。戦略的なチームを構成し、以下の内容の研究実績が得られている。カプセル型で世界最小サイズの燃料電池を作製できている。マイクロカプセル内包の小型燃料電池を作製し、微細粒子や生体細胞などの自己分散制御技術の基礎となる現象を得ている。クリーンルーム微細加工システムを用いて微細電池セル構造の決定および200チップ電池アレイを作製し、発電現象を確認している。また、帯電性による微小固体の凝集性メカニズムのモデルを構築中である。さらに、内包用微小カプセルを作製し、電池セルを導入することでカプセル型燃料電池素子を完成させている。完成したカプセル型燃料電池を用いて、微粒子凝集構造の人工制御、および生体細胞電位による制御性を確認中である。さらには、医療・センシングへの新規展開を行い、そのシステムの機能性を検証する。本研究課題は、研究分担者と研究協力者と研究体制を構成し、戦略的に、かつ計画的に研究を進め、確実な成果の創出に向けて順調に進んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請者の使用するクリーンルーム設備により、電池セル構造を作製し、それを200チップを集積化させて電池としての出力機能性を発現させることに成功している。電池セル構造はすでに実用化バージョンが完了している。本研究では、さらに、立体構造の電池セル作製を高精度に行うため、既存の電子ビーム加工システムに改造を加えて、電池のマイクロ化に成功している。貫通孔構造を有したマイクロ電池が高精度に作成できている。作製した集積化燃料電池ユニットの動作試験を、既存の電源内部抵抗測定ユニットを用いて測定し、内部抵抗の減少を確認し、高効率な電池特性を有することを実証している。この際の内部抵抗の低減が、電池の高出力化に今後のさらなる小型化に繋がることになる。さらに、本研究では、試作電池チップアレイの集積数を変えることで、電池の出力電圧を自在にコントロールする。電池アレイの作製には全30工程を要する。アルコール燃料を滴下すると、滴下量に対応して出力電圧が推移することが確認できている。1セルあたりの発電電圧は約6mVである。このセルを200個集積し直列接続することで、約1Vの出力電圧が得られるため、通常の集積回路のバイアス動作も可能となる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度までに作製した電池セルの高出力化と安定化をさらに前進させる。また、微粒子凝集の電池電位制御は、ゼータ電位計や原子間力顕微鏡(AFM)の帯電電位像の測定により決定する。これらの技術により、凝集表面の正負の帯電電位分布が正確に測定することができる。正負の表面電位が交互に配置することにより、クーロン相互作用を強く働かせた凝集構造が実現できる。これは、電池の触媒層の安定形成にとって有効な結果である。最終的に、作製した電池チップは、アクリル樹脂などを主成分とするカプセル内へ設置した。これまでに、作製した200μm径のカプセルを完成させている。本研究の完成により、多用なサイズの血栓や微粒子制御システム創出を目指し、その妥当性の検証を強力に推進する。(a)毛細血管内の赤血球の凝集による血栓の形成防止および予防:液体燃料は血液中のブドウ糖を利用する。電池材料は貴金属と生体適合性樹脂で作製されるため、副作用等は生じない。(b)循環器回路による実証実験:生理食塩水中での疑似血栓の凝集と分散を実験的に制御する。特に、電池デバイスの分散有効性に注目して、その動作安定性の確立を推進する。また、デバイス作製の一環システムを構築している。本研究の最終結果は、従来にない高精度に制御された球状型燃料電池デバイスの実現を創製することから、血栓を含むすべての微粒子凝集制御、センシング、医療応用分野に普及させていく。また、カプセルサイズをさらに縮小し、サブミクロン領域へ拡張することで、ナノ粒子分散やウィルスコントロールなどの新規分野への適用をチャレンジする。多くの電子デバイス、バイオ制御、機能性ディスプレイ、光学素子制御等に技術展開させていく。
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Causes of Carryover |
球形のマイクロカプセル作製において、高分解能の紫外線描画技術が必要になったため、追加装置の購入および改造、およびレジスト材料の高機能化に対して次年度使用が必要になった。翌年度の予算と合算させて、高機能なカプセル製造システムを構築していく。
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Research Products
(4 results)