2018 Fiscal Year Research-status Report
亜熱帯沿岸部の巨礫分布より逆推定する歴史的台風評価法の開発
Project/Area Number |
18K18878
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
森 信人 京都大学, 防災研究所, 教授 (90371476)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡部 靖憲 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (20292055)
中條 壮大 大阪市立大学, 大学院工学研究科, 講師 (20590871)
安田 誠宏 関西大学, 環境都市工学部, 准教授 (60378916)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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Keywords | 巨礫 / 波浪 / 台風 / 逆推定 |
Outline of Annual Research Achievements |
事例の非常に少ないMw 9.0規模の巨大地震津波の発生頻度および規模の過去事例を把握するため,陸域に打ち上げられた巨礫(津波石)の分布についての調査が行われている.陸上に残る巨礫の分布は,巨大津波の発生状況を把握することができる有効な痕跡であるが,亜熱帯域では,台風の発生・発達域と重なるため,観測される巨礫がどのように移動したのかの判定が難しい.本研究では,観測された台風石の分布から,アンサンブル数値実験を通して,過去数十年~数百年間を対象とした歴史的巨大波浪および台風強度の逆推定を試みることを目的とする.このため,台風の外力から巨礫分布特性を評価できる統合モデルを開発することを第1目標とする.第2の目標として,観測された巨礫の分布特性および地形を既知データとして,統合モデルのアンサンブル計算および推定により,観測された巨礫分布を説明可能な過去波浪・台風特性を推定する.
本年度は,(1)巨礫移動統合モデルの開発,(2)これをサポートする現地データおよび基礎実験,(3)過去波浪・台風特性の推定の3つのフェーズで構成される.これらについて本年度は以下の成果を得た.(1)巨礫移動統合モデルの開発では,確率台風モデルによる人工台風と外洋波浪モデルを組み合わせて,1万年のオーダで外力を生成した.与えられた波浪条件をもとに,波浪スペクトルから不規則波を100アンサンブル程度生成し,リーフ上の流体力を推定するコードの開発を行った.リーフ端から陸上までの径毎の巨礫について移動計算する計算モデルの開発を行った.(2)基礎実験を行い,巨礫移動モデルで必要となるリーフ上での摩擦力や,複雑な巨礫形状に対応する回転モーメント等のデータを取得した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた実験データの取得や解析は順調に終了し,計画通り進展した.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は,計画通り(1)巨礫移動統合モデルの開発,(2)これをサポートする現地データおよび基礎実験データの取得,(3)過去波浪・台風特性の推定の3つのフェーズを進める.
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Causes of Carryover |
実験の一部が今年度中に終了せず,この文を次年度に実行するため,一部繰越を行った.
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