2018 Fiscal Year Research-status Report
History of Bridge Engineering Researches in World War II and its Application to Earthquake Resistance
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18K18882
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高橋 良和 京都大学, 工学研究科, 教授 (10283623)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | 耐弾性能 / 橋梁 / 耐震構造 / 危機耐性 |
Outline of Annual Research Achievements |
第二次世界大戦中に耐弾橋梁として朝鮮総督府鉄道局で開発・建設された複斜材式トラス橋梁は,現代の日本ではその関連資料の入手が極めて困難である.現存する開発資料においては,同形式のプロトタイプ橋梁について,部材の断面積,断面二次モーメントなど,弾性設計で用いられる情報が掲載されているが,その断面形状などは不明であった.2018年度は,現存する複斜材式トラス橋梁である鴨緑江大橋,臨津江大橋を訪問し,撮影写真および戦時下の京都大学卒業論文より,断面形状の特定など,復元設計を行った. また,復元設計した複斜材式トラス橋梁について,解析モデルを作成し,当時の構造解析技術では不可能であった非線形解析を行うことで複斜材式トラス橋梁の非線形挙動を把握した.さらに,キーエレメントの概念を用いた冗長性評価を行った.非線形解析の結果,本研究で対象とした複斜材式トラス橋梁は荷重支持能力を超える荷重を受け,部材感度の高い部材が破断すると急激に荷重支持能力が低下することから,内的不静定構造であるが,冗長性は必ずしも高くない可能性を明らかにした.キーエレメントの概念を用いた冗長性評価により,単径間の複斜材式トラス橋梁では中央の上弦材と下弦材が突出して部材感度が高く,キーエレメントに依存した構造系である可能性を明らかにした. さらに,3径間連続複斜材式トラス橋梁に対すしても同様の検討を行い,支承部が破壊された場合,どの部材が消失した時よりも荷重支持能力が低下すること,ただし,外的不静定化されていることから,キーエレメントへの依存度は単径間橋梁よりも小さいという知見が得られた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
情報が極めて少ない戦時下における朝鮮半島で建設された長大橋梁に関し,その断面形状を含む復元設計ができたことは,非線形解析が可能となり,本構造の真の耐弾性能の理解に向け,おおむね順調に進展しているといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
2018年度の検討では,単径間橋梁の場合,内的不静定構造であっても,必ずしも冗長性が高くない結果を得た.ロバストネスの観点で整理し,同じ部材配置を有しながら冗長性を高める方策について検討する.また連続橋梁の複斜材式トラス橋梁を対象に,内的不静定・外的不静定,さらに別の対策と,異なる対策を組み合わせること(多様性)による耐弾性能への効果について,評価を試みる.これら耐弾性能の向上に対する知見を踏まえ,橋梁の地震時安全性向上策へと展開する.
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Causes of Carryover |
朝鮮半島で建設されている現地を訪問するにあたっては,別予算を用いることができたため,当初計画の使用額を節約することができた.また,現存する資料の探索,また復元設計を実施するために多くの時間を要したが,2019年度に対象としようとする連続橋梁,さらに吊り弦材を有する橋梁については,さらに時間を要する見込みである.そのため,翌年度に繰り越した助成金の一部を復元設計協力者に対する謝金に当て,その復元スピードを向上させる予定である.また,朝鮮半島以外の耐弾橋梁の調査と模型製作,ロバストネス解析のためのワークステーション導入に助成金を使用予定である.
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Research Products
(3 results)