2020 Fiscal Year Research-status Report
近赤外線を利用する光合成アンモニア酸化微生物の獲得と革新的排水処理プロセスの構築
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18K18884
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
金田一 智規 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 准教授 (10379901)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2022-03-31
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Keywords | アナモックス / 光合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
近赤外線を利用する光合成アンモニア酸化微生物の集積培養を行うためには、750-800 nmの最大吸収波長を持つバクテリオクロロフィルを有する微生物のみ優占化させる必要がある。したがって、通常のクロロフィル(最大吸収波長680-700 nm)の吸収波長を照射しないようにする工夫が必要である。2019年度は昨年度選定した700 nm以下の波長をカットできるロングパスフィルターおよびハロゲン光源を用いた上向流カラムリアクターを構築し、不織布を微生物担体とした集積培養を開始したが、光の照射により緑変したバイオマスでは通常のクロロフィルを持つシアノバクテリアが40-50%を占める結果となった。そこで2020年度は750 nm以下の波長をカットできるロングパスフィルターおよびハロゲン光源を用いた上向流カラムリアクターを構築し、研究室内で集積培養されているアナモックス細菌群集を植種源として培養を開始した。カラムリアクター内と不織布表面のバイオマスを採取し、DNA抽出を行い、次世代シーケンサーによる微生物叢解析を行った。その結果、光の照射により緑変したバイオマスでは通常のクロロフィルを持つシアノバクテリアが40-50%を占める結果となり、2019年度と同様の結果であった。一方、カラムリアクターの窒素収支からわずかながら窒素除去が行われており、本研究で目的とする微生物がわずかに存在する可能性も示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2019年度および2020年度は予定通りの装置および方法にて培養を開始することができ、次世代シーケンサーによって目的微生物の増殖の有無を確認することはできた。しかしながら2018年度の広島地区豪雨災害によって実験開始の遅れが生じており、補助事業期間延長を申請し、実験を継続する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度はアナモックス集積培養系のバイオマスを用いたにも関わらず、シアノバクテリアが優占種となっているため、ロングパスフィルターの波長を見直し、775 nm、または800 nm以下の波長をカットできるロングパスフィルターを特注し、培養を行う。
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Causes of Carryover |
初年度に発注したロングパスフィルターが特注であったことに加え、広島地区の豪雨災害の関係で納期が大幅に遅れたことによって、培養実験の開始日が当初の計画より遅れたため、最終年度に補助事業期間延長を申請したためである。次年度使用額は775 nm、または800 nm以下の波長をカットできるロングパスフィルターの購入および培養装置の購入に使用する。
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