2018 Fiscal Year Research-status Report
Noninvasive and noncontact measurement of elastic constants of solid using ultrasonic wave field visualization
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18K18885
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
中畑 和之 愛媛大学, 理工学研究科(工学系), 教授 (20380256)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | 音響異方性 / レーザー / 弾性定数 / 超音波 / 非接触・非侵襲 / 逆解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,部材表面を伝搬する超音波を可視化し,その可視化結果から逆解析によって弾性定数を求める方法を提案し,それを検証することを目的とする.ここでは,センサやゲージ等を設置することなく完全非接触で原位置の弾性定数を評価する手法の開発を目指す.H30年度は,以下の項目について実施した. (1)レーザードップラー振動計(LDV)によるスキャン装置の製作 点波源から発生した超音波は表面および内部を伝搬する.ここでは,LDVを面的にスキャンするように治具を製作した.各点で得られた波形をPCにストアし,これを処理することで,超音波の可視化を行うシステムを開発した.このシステムは,ナショナルインスツルメンス社のLabVIEWから制御できるように,インターフェースの開発も同時に行った. (2)弾性定数推定のための数値計算法の実装 点波源から発生した超音波は群速度の波面で伝搬する.得られた伝搬波を全座標点で時間方向にストアし,これに時空間フーリエ変換を施すことで,群速度曲面から全方位の位相速度(スローネス曲面)を抽出した.このスローネスとChristoffel方程式を解いて得られるスローネスとの差を最小化する逆問題を設定し,これを数値的に解くことで弾性定数を求めた.この弾性定数の妥当性を検証するために,クロスプライCFRPの数値モデルを作成し,FEMを用いて波動伝搬を可視化した.これを実際の供試体の表面を伝搬する波動と比較したところ,波動の拡がりや速度が良好な一致を示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H30年度は,LDVを用いて超音波の伝搬を可視化する装置を独自に製作した.LDVは既製品であるが,治具(スキャナ装置)や,これらを制御するソフトウエアは研究室自作のものをベースに企業に改良を加えてもらったものである.スキャンは,不具合無く全点にて波形を記録することが出来ることを確認している.また,得られた波形を基に,CFRPの弾性スティフネスの推定を行った.CFRPは異方性を有するが,強軸方向は静的試験と比較を行っており,これらは近しい値を示すことが分かった.すなわち,本年度はアルゴリズムの検証が中心であったが,弾性スティフネスの精度については十分な信頼性を得られることが分かった. 以上より,計画通りに研究は遂行できている.
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Strategy for Future Research Activity |
H30年度は,基本的な性能検証のために,超音波の送信を接触型探触子で行った.この検証は順調に進行したので,H31年度は完全非接触で波形を計測することにチャレンジする.このため,エアプローブの導入を予定している.エアプローブは連携研究者である,ジャパンプローブの大平センター長と共同で設計・製作を進める. そのための準備として,H30年度は現有装置であるパルサーレシーバの高出力化(励起電圧の増加)を行っている.ここで,研究が順調に進むためには,エアプローブから空気を介して被検体に超音波がうまく屈折して発生することがキーとなる.そのためには,プローブのリフトオフの調整,傾き角度の設計が必要となるが,これは,音場計算によって,事前に評価を行う予定である.この計算シミュレーションは整備済みである. H30年度は,CFRP供試体を作成して検証を行ったが,H31年度は異方性を有する柱状晶金属等にも適用したい.このとき,粒界散乱によって多重散乱が発生するが,そのときの音速のばらつきの評価については重要な検討事項となろう.
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Causes of Carryover |
H30年度は,超音波の送信を接触型探触子で行い,完全非接触・非侵襲計測の可能性を検証する準備期間であった.この検証によって,次年度のエアプローブの設計指針を得ることができたので,余剰金はH31年度にエアプローブの購入のために使用する.また,波形出力が得られない場合等の不測の事態に備えて,レーザー照射によって発生した超音波をエアプローブで受信する方法も考えている.これは相反性を利用した方法であり,完全非接触・非侵襲計測は維持できる.このためのシステム改良費として経費の使用を考えている.
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Research Products
(4 results)