2019 Fiscal Year Annual Research Report
Theoretical elucidation of short-term/long-term effects of temperature and humidity exposure on skin dryness
Project/Area Number |
18K18892
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
後藤 伴延 東北大学, 工学研究科, 准教授 (20386907)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | 建築環境・設備 / 皮膚乾燥 / 低湿度 / 温湿度環境 / 皮膚含水率 / 経皮水分損失量 / 角層 / 乾燥感 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 平衡含水率曲線の推定と季節変化に関する実験:皮膚角層の平衡含水率曲線を推定するための実験を,対象者2名について夏季・秋季・冬季の各季節で実施した。その結果,1名については夏季から冬季にかけて平衡含水率曲線が下方へシフトする様子が観察された。別の1名については季節変化がみられなかった。 2. 短期的な皮膚含水率変化メカニズムに関する実験:人の温熱生理状態の違いを排除するため,室温を固定し,ペルチェ素子を用いて測定部の皮膚温度のみを変化させた条件下で皮膚含水率と経皮水分損失量の測定を行った。加えて,昨年度と同様に室内の水蒸気分圧を変化させた条件下での測定も行った。その結果,水蒸気分圧の上昇に伴って皮膚含水率が上昇,経皮水分損失量が低下すること,皮膚温度の上昇に伴って皮膚含水率・経皮水分損失量ともに上昇することが確認された。 3. 皮膚含水率測定器の温度依存性の検証:上記結果の信頼性を確認するため,皮膚含水率測定器の温度依存性を検証し,測定器に温度依存性が無いことを確認した。 4. 皮膚を模した材料の含水率変化に関する実験:皮膚温度の上昇に伴い皮膚含水率が上昇する現象について,発汗や血圧といった人体特有の要因によるものかを検討するため,角層の代わりに紙を用いた実験を行い,表面温度と含水率の関係を把握した。その結果,皮膚と同様に,表面温度が高いときに含水率・水分蒸発量ともに大きくなることが明らかになった。 5. 皮膚含水率変化メカニズムの分析:昨年度と本年度の実験結果より,皮膚含水率が季節変化するのは,角層の平衡含水率曲線が季節変化するためであると推定された。また,皮膚温度の上昇に伴って皮膚含水率が上昇するのは,角層の水分伝導率が皮膚温度に依存して変化するためであり,この温度依存性は,拡散係数が温度によって変化するアレニウスの関係に起因するものであると推定された。
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