2018 Fiscal Year Research-status Report
Analysis of crimes against children and women in multifamily housing
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18K18894
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
樋野 公宏 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (30391600)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 賢 日本大学, 理工学部, 教授 (00387747)
雨宮 護 筑波大学, システム情報系, 准教授 (60601383)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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Keywords | 防犯環境設計 / 設計指針 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、集合住宅における子ども・女性に対する犯罪について、建築および地域レベルから犯罪の実態分析を行い、設計指針の作成など、データに基づく対策を立案することを目的とする。 犯罪の実態分析は、自然監視性や領域性など防犯環境設計の視点に基づく建築レベル、人口動態や土地利用など地域レベルの二段階で行う。分析結果を踏まえた、子ども・女性が被害に遭いにくい集合住宅の設計指針(建築レベル)、警察・民間による防犯活動の手引き(地域レベル)を本研究の成果とする。 2018年度は、子ども・女性対象の前兆事案について、福岡市および東京都区部を対象に分析を行った。福岡市での分析結果は福岡県警察犯罪予防研究アドバイザー報告会(11月)にて発表した。東京都区部については、街路ネットワーク構造の指標であるBetweenness(経路としての選択されやすさ)およびStraightness(見通しの良さ)が前兆事案の発生と有意に関係することを明らかにし、地理情報システム学会の査読論文として投稿した(採用決定)。また、前兆事案の時空間的集積性についての分析を進め、前兆事案の類型や、時間帯および地域による集積傾向の違いを確認し、成果を学会発表した。 これら得られた知見の一部は、6月に公表された「登下校防犯プラン」(登下校時の子供の安全確保に関する閣僚会議決定)にも反映され、警察庁「子供と女性に対する犯罪等の防止するための対策に関する調査研究会」でも活用された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
犯罪の実態分析に必要な警察データの入手が遅れたため。また、当初予定していなかったNorthampton大学との「日英における警察ボランティアの比較研究」の調整にエフォートを要したが、2019年度作成着手する「警察・民間による防犯活動の手引き」に有益な情報が得られることが期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は、神奈川県を対象に現地調査を通じた建物レベルの分析、県警提供データを用いた地区レベルの分析を行う。前年度の分析結果と合わせて、子ども、女性が被害に遭いにくい集合住宅の設計指針、警察・民間による防犯活動の手引きの作成に着手する。また「防犯優良賃貸住宅」など、既存の認定制度の基準との関係性を検討する。 そして最終年度となる2020年度には、上記設計指針および手引きを完成させ、シンポジウム等を通じてその普及を図る。
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Causes of Carryover |
研究進捗がやや遅れたこと、2019年度早々に海外での国際会議出席が予定されていたことから次年度使用額が生じた。これに伴い、2019年度の請求額を予定より減額した。
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