2018 Fiscal Year Research-status Report
Exploring conditions for Tensegrity being the optimum structure
Project/Area Number |
18K18895
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
川口 健一 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (40234041)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中楚 洋介 東京大学, 生産技術研究所, 助教 (70756361)
|
Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
|
Keywords | テンセグリティ / 建築構造 / 自己釣り合い / 張力 / プレストレス / 一般逆行列 |
Outline of Annual Research Achievements |
テンセグリティ構造は、テンションネットワークの中に互いに接触しない圧縮材が散在した構造であり、同一の節点数を持つトラス構造に比べ、約3分の2まで部材数を減らすことが可能であることが知られている(図1,2)。この意味で究極の軽量構造と呼ばれる。バイオ工学の分野においては、D. Ingber (1998) によって細胞の形状を維持する細胞骨格がテンセグリティ構造となっていることが指摘され、現在では定説となっている。つまり、自然界のある条件下においてはテンセグリティ構造は最適な構造として選択されることが知られている。 ところが、実際にテンセグリティ構造を建築物として設計建設すると、無駄の多い不静定構造となる。つまり理論的には究極の軽量構造となり得るにもかかわらず実際にはそうならない。本研究は、この相違について探索を行いその条件を見つけることを目的とする。部材数や不静定次数はスケールや材質に影響を受けないので、何らかの幾何学的な条件が存在するはずである。そのような条件が見つかれば三角形を基とする静定トラス構造よりも最適な構造が建築スケールにも存在するという、従来の常識を変える発見につながる可能性がある。 初年度の研究を行うにあたり、我々が既に建設したWhiteRhinoIIの実大観測における張力分布の計測値の分析を行った。この結果、実測開始直後に張力分布の入れ替わり現象が確認された。張力の入れ替わり現象は、本研究における理論の根幹にかかわる意味があるため、当初の研究予定と同じ手法を用いて、この現象の分析を行った。現在のところ、自己つり合い力のバランスのみでは説明がつかないという所まで解明できている。今後は支持部反力の影響について考察する必要がある。これにより当初の研究は遅れ気味だが、テンセグリティの最適構造としての意味の調査、という大きな意味での研究の方向性は変わっていない。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の一環として、まず、我々が既に建設したWhiteRhinoIIの実大観測における張力分布の計測値の分析を行った。この結果、実測開始直後に張力分布の入れ替わり現象が確認された。構造形態が変化しないにもかかわらず張力の入れ替わり現象が発生するということは、本研究における理論の根幹にかかわる意味があるため、当初の研究予定と同じ手法を用いて、この現象の分析を行った。現在のところ、自己つり合い力のバランスのみでは説明がつかないという所まで解明できている。今後は支持部反力の影響について考察する必要がある。これにより当初の研究は遅れ気味だが、テンセグリティ構造が最適構造としてどのような意味があるのか、という大きな意味での研究の方向性は変わっていない。
|
Strategy for Future Research Activity |
初年度に新たな課題として見つかった、張力の入れ替わり現象をまず解明する必要がある。形態変化を伴わない張力の入れ替わりについての調査解明が終わったうえで、当初計画の研究トラックへ戻る予定である。張力入れ替わり現象に関しても分析の手法は当初の計画と変わらない。一般逆行列理論を用いた線形空間への直交直和変換を多用する。また、当初の研究方法であるグランドストラクチャー法及び応力密度法によるトポロジー最適化による数値解析も張力の入れ替わり現象の回目後に順次行っていく予定である。
|