2019 Fiscal Year Annual Research Report
Exploring conditions for Tensegrity being the optimum structure
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18K18895
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
川口 健一 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (40234041)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中楚 洋介 東京大学, 生産技術研究所, 特任講師 (70756361)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | 張力構造 / テンセグリティ / 膜構造 / プレストレス / 不静定構造 / 不安定構造 / 位相最適化 / グランドストラクチャー法 |
Outline of Annual Research Achievements |
建築スケールにおいて実際にテンセグリティ架構を構造要素として設計し建設すると、最適な構造とは言えない無駄の多い不静定構造となることがわかる。つまり理論的には究極の軽量構造と考えられるにもかかわらず、実際にはそうならない。本研究はこの相違についての研究探索を行うものである。 本研究では2つの研究を実施した。実際に東京大学柏キャンパス内に建設したテンセグリティ実構造物の張力変動の観測である。2017年に建設されたこの建物の軸力を10分毎に計測し、設計時の挙動と比較を行った。その結果、予測と大きく異なる軸力変動が得られた部分があるため、精査を行ったところ、一部の圧縮材において計測用のひずみゲージの値に不良があることが判明した。その部分を他の正常な観測値によって補って補正したところ、設計時の予測値は概ね実際の挙動とあっており、また、2019年の大型台風による風力も、設計時の最大荷重時の軸力の7割程度であったことが分かった。 また、テンセグリティの最適性を検証するため、2次元のグランドストラクチャ法による位相最適化数値解析を実施した。目的関数はコンプライアンスの最小化による線形剛性最大化である。1本の柱にならないような拘束を導入した。その結果張力材を有効利用したトラス状の構造物となる傾向を把握した。また、グランドストラクチャの節点をランダム配置とした場合、また最適化を二段階とし、後半ではまた節点移動も含めた最適化を行う等したところ、全体としては静定トラスに近づく傾向がわかった。しかしテンセグリティのような不安定不静定構造になることはなく、恐らく、目的関数をコンプライアンスではなく別の、質量最小化かつ形状維持といった関数に置き換える必要があると考えられる。また三次元でのモデル化も必要であるが、これらは今後の課題となった。これらの結果は日本建築学会大会論文として報告している。
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