2018 Fiscal Year Research-status Report
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18K18902
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Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
佐藤 考一 金沢工業大学, 建築学部, 教授 (40298253)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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Keywords | メーターモジュール / 品質確保 |
Outline of Annual Research Achievements |
大規模耐火木造を手がけた設計者に対し、アンケート調査とヒアリング調査を実施した。アンケート調査は109事例について実施し、27件の回答を得た(回答率25%)。ヒアリング調査は、アンケート回答を寄せた設計者から5社を選定して実施した。なおアンケート調査に当たっては2×4構法と軸組構法の関連団体の協力を得て、調査対象を選定した(前者33事例、後者51事例)。しかしながら、軸組構法に関する回答が全く得られなかったため、国土交通省が実施している木造関連の先導事業の採択事例(25事例)を対象とした追加アンケート調査も行って上記の回答を確保した。 今回の調査により、大規模耐火木造に採用されるプランニングモジュールは、用途や構法によって異なる傾向にあることを明らかにした。つまり、居住系建物では2×4構法、非居住系建物では軸組構法を採用する傾向があることを確認した。また構法別に見ると、2×4構法を用いる場合は木造住宅の延長にある3尺(910mm)モジュールを採用することが多いのに対し、軸組構法を用いる場合は、非木造の大規模建物と同様のメーターモジュールを採用することが多いことを明らかにした。 以上の調査結果に基づき、大規模耐火木造に関する設計上の課題を次のように考察した。2×4構法の場合、大規模建物でも3尺(910mm)モジュールが採用されているのは、木材(たて枠)の最大間隔が455mmに制限されているためと考えられ、こうした仕様制限が今後の普及の足枷になる可能性が高い。一方、軸組構法は間柱の最大間隔が500mmであることからプランニングモジュールに対する制約は見られない。但し、今回の調査によれば軸組構法を用いた設計者は主要構造部に関する間柱等の割付けを十分に検討していないことから、品質確保上の問題が内在しているものと予想される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初調査では軸組構法を用いた大規模耐火木造の事例を全く収集できなかったのは想定外であった。しかし、速やかに追加調査を実施することにより、設計上の課題は概ね明らかにできたと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
申請時の計画に従って、施工者並びに木質系材料メーカーに関する調査を実施する。
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Causes of Carryover |
当初調査では軸組構法のアンケート回答が得られず、急遽、追加調査を行うことになった。そのため、申請時に計画していた略設計に基づく面材使用量のシミュレーションを実施できず、次年度使用額が生じることになった。次年度は予定していたシミュレーションを速やかに実施する計画である。
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