2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K18902
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Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
佐藤 考一 金沢工業大学, 建築学部, 教授 (40298253)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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Keywords | メーターモジュール / 品質確保 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は主に二つの調査を実施した。まず、H30年の設計者アンケート調査で回答が得られた大規模耐火木造27事例を対象として、施工に関する実態把握調査を行った。その結果、12事例の施工者からアンケート回答が得られ、その中の4事例についてはヒアリング調査も実施した。こうした調査により、大規模耐火木造では石膏ボード張り工事が工事遅延の要因になりやすく、2×4構法の場合には集成材の調達に手間取る傾向があることなどが明らかになった。 もう一つは木質系面材の生産・供給に関する実態把握調査である。調査対象には、構造用合板とCLT(直交集成板)を選定した。前者は最も汎用的な木質系面材であり、後者は今後の普及が期待される新しい木質系面材である。それぞれの業界団体にヒアリング調査を行ってから、アンケート調査を構造用合板メーカー19社(回答15社)とCLTメーカー19社(回答15社)に行った。またヒアリング調査も前者3社、後者1社に対して行ってアンケート調査を補った。その結果、定尺幅1Mの構造用合板の生産・供給に特に支障はないことが確認されたが、合板関係者には大規模耐火木造の普及のためにメーターモジュールが必要という認識に欠けていることも明らかになった。一方、CLTについてはパネルサイズに関する現在の典型と今後の導入予定を確認し、4種類ほどのデファクトスタンダードが生まれつつあることなど明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和元年度には、当初計画していた調査を全て予定通り実施できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画通りに、大規模耐火木造の設計・施工・部材供給モデルのとりまとめを行う。なお最終年度にはその一環として、大規模耐火木造に適したプランニングモジュールに基づくモデル設計を行う予定であった。しかしこれまでの調査により、軸組構法と2×4構法とでモジュールを巡る課題が異なっていることが明らかになった。そこで、設計モデルのとりまとめに当たっては、建築の代表的な規格部品に着目し、それらに対する互換性を確保するための手法を取りまとめると共に、Webシステムを介した業務支援ツールについても検討する。
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Causes of Carryover |
次の理由でヒアリング調査旅費を合理化できたため:①複数の企業のヒアリング調査を同一行程に集約できた。②ヒアリング先が石川県内の企業になった。 最終的な設計モデル提案にむけて、代表的な規格部品に関する調査が新たに必要になると共に、Webシステムを介した業務支援ツールの検討も行うことになった。そこで今年度に繰り越した助成金はこれらの調査や検討に活用する。
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Remarks |
本研究の成果に基づいて大規模耐火木造の普及に向けたテキストの一つの章を執筆した((公財)日本住宅・木材技術センターの依頼による)。これは国土交通省補助事業「非木造・中大規模分野における木造建築の普及促進事業」の一環として作成されるもので、今後はこのテキストに基づく全国的講習会の実施が検討されている。
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