2020 Fiscal Year Research-status Report
記憶を取り入れた歴史文化都市のプラットフォームの策定
Project/Area Number |
18K18903
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
宗本 晋作 立命館大学, 理工学部, 教授 (20581490)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2022-03-31
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Keywords | 注視傾向 / 街並み画像 / 勾配 / 街路ネットワーク / 避難シミュレーション / スケッチ / AI / 訪問意欲 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、「場所」の評価として中心部が平坦でない勾配のある都市では、都市の中心部の認識と都市の構造に関係して、認識のずれが生じることを感じ、都市の中心性と勾配の関係を分析する研究を纏めた。具体的には、過去に研究対象とした神戸市を対象として、既知の認知領域図と照合するために、まず都市空間の勾配を取り入れた媒介中心性指標を考案し、「勾配を取り入れた街路ネットワークの中心性の研究-神戸における歩行経路を対象として」を纏め、日本建築学会計画系論文集に投稿した。 『歴史・文化面』の都市の評価として、都市の訪問意欲と景観の関係を学習させた「Deep Learning を用いた街並み画像に対する平均訪問意欲推定 AI の作成と検証」の発表を行った。また街路空間の印象評価の要因分析において、従来からの注視点計測装置を用いた手法では、被験者が空間の特徴として実際に把握したどうかを定めることができない問題を指摘し、スケッチを組み合わせた新しい手法を提案し、試行した。論文発表用に纏める予定である。 次に都市構造は安全確保のために道路拡幅などにより、形質が変更されてしまう。このときに記憶も文化も失うので、意味がなくなってしまう。そこで、都市の質的な部分を保持していくために、都市構造を変えない開発とするための技術として、避難シミュレーションを取り入れ、既存の都市構造のままに避難経路を発見し確保する方法を試行した。論文発表用に纏める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究は予定通りに、「勾配を取り入れた街路ネットワークの中心性の研究-神戸における歩行経路を対象として」として日本建築学会計画系論文集に投稿し、都市構造や勾配と認知や記憶との関係を分析する方法を纏めた。 「場所」としての評価に関して、街路空間の印象評価の要因分析において、従来からの注視点計測装置を用いた手法では、被験者が空間の特徴として実際に把握したかどうかを定めることができない問題を指摘し、スケッチを組み合わせた新しい手法を提案し試行した。 加えて都市の質的な部分を保持していくために、都市構造を変えない開発とするための技術として、避難シミュレーションを取り入れ、既存の都市構造のままに避難経路を発見し確保する方法を試行した。 どちらも学会へ投稿の準備を行っており、研究目的の達成度は、おおむね順調に進展していると云える。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は、まず2020年度に継続して、現在作業を行っている「木造密集市街地における避難シミュレーションを用いた路地の安全性評価法に関する研究」、「注視点計測装置とスケッチを用いた街路空間の特徴把握に関する研究」を纏め、論文集に投稿する。 「木造密集市街地における避難シミュレーションを用いた路地の安全性評価法に関する研究」は、都市の質的な部分を保持していくために、都市構造を変えない開発とするための技術として、避難シミュレーションを取り入れ、既存の都市構造のままに避難経路を発見し確保する方法で本研究の中心技術の一つとなる。 「注視点計測装置とスケッチを用いた街路空間の特徴把握に関する研究」もまた、従来からの注視点計測装置を用いた手法では、被験者が空間の特徴として実際に把握したどうかを定めることができない問題を改善し、スケッチを組み合わせた新しい手法により都市の質的な部分を説明しようとする試みであり、大切な技術である。 これらと組み合わせて、最後の研究全体としての纏めとして、都市の文化や質の面と数理面の評価について、これまで得られた研究で取り組んだ内容を組み合わせ、都市を数理的な面と記憶、文化面からの両方からの評価を行うためのプラットフォームとして纏める。
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Causes of Carryover |
(理由)物品費については、実験データ用サーバーを整備する人手が間に合わず、高額機材の購入を行わなかったため。 人件費・謝金については、申請者と協力者でデータ分析を抑え、支出を抑えたため。その他については、投稿論文が入稿準備中で未払いのため。 (使用計画)物品費については、実験データ用サーバーを整備する。旅費は研究発表と協力者との打合せのための交通費や実地調査に充てる。人件費・謝金については、データ分析を行うための人件費に充てる。その他については、投稿論文の入稿料に充てる。
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