2020 Fiscal Year Research-status Report
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18K18904
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
海野 聡 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (00568157)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2022-03-31
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Keywords | メンテナンス / 南都 / 建長寺 / 修理 / 建築生産 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度はコロナ禍により、対面による研究会を開催することが困難となり、オンラインへの開催へと切り替えざるを得なかった。またオンライン化への整備や当初、予定していなかった設備・システムの構築に時間や予算を必要としたため、4月に予定していた初回の研究会を延期した。一方で、予定していた研究会はすべて開催することができ、日本建築史におおけるメンテナンスという新しい視座を構築することに成功した。一方で、対面による議論を重視したシンポジウムは開催することができず、次年度に送る結果となった。 なお学生アルバイトに依頼して行う南都七大寺を中心とするメンテナンスの情報整理は感染症対策に気をつけながら、行うことができ、一定の成果を上げることができた。さらに年度途中に、中世から続く禅宗の大寺院である建長寺の伽藍調査の機会を得たことで、実践的なメンテナンス研究に取り組むことができた点は大きな成果である。 2020年度には建長寺の全山調査を行うとともに、西来庵の歴史的建造物を調査し、それぞれの建物が建立から現在までどのような経緯で受け継がれてきたかについて、調査を通じて検討した。そのなかで、史跡的な価値と建築の物質的価値の重複や継承が見られ、建築史学で中心とされてきた物質的なオーセンティシティの概念とは異なる新たな視座を獲得することができた。 以上のように、2020年度は現地調査を行うのが厳しい環境下において、どのように現地調査を行うかという研究方法の開発を副次的に行ったとともに、史料による成果と合わせ、見地うメンテナンスについて、史料と現存建築の両面から検討する有効性が確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究の個別の検討は進んでいるが、コロナ禍により、シンポジウムの開催ができなかった点からそのため、研究期間を延長しており、やや遅れている進捗状況であるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は実践的な調査研究として、建長寺の調査・報告書の作成を進めるとともに、コロナ禍の状況をみつつ、シンポジウムの開催を視野に研究を進める。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により、調査・出張などの制限が生じ、研究環境の変化が生じた。またコロナにより、学生アシスタントらの安全を考慮した結果、人的確保の期間が短くなったため、使用額が予定よりも少なくなっ た。 本年度は研究打ち合わせを継続的に開催する。また研究補助のアシスタントの体制を再整備を行い、必要となる調査機材に関しても拡充を図り、研究環境の整備を続ける。 シンポジウムに関しては研究協力者らと相談の上、開催の必要性について再度、協議し、シンポジウム開催以外の研究進展・公開の方法も模索する。
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