2019 Fiscal Year Research-status Report
非接触計測による周方向ガイド波共振を利用した配管の高効率非破壊評価
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18K18920
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
林 高弘 大阪大学, 工学研究科, 教授 (30324479)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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Keywords | 周方向ガイド波 / 弾性波 / レーザ / センサ |
Outline of Annual Research Achievements |
円筒構造中を周方向に伝搬するガイド波について,これまでは配管検査への適用を検討してきた.本年は,周方向ガイド波を高感度センサへ適用するための基礎検討を行った. 初めに理論的に求めた円筒構造を伝搬するガイド波の分散曲線より,円筒構造内の周方向溝部において振動エネルギがトラップされ,特定の周波数において共鳴することを見出した.さらに,半解析的有限要素法を用いた周方向ガイド波の数値計算によって,その共鳴周波数を計算し,その周波数に合う実験システムを構築した.実験システムは,これまでの研究で用いてきたレーザを用いた非接触による弾性波計測システムを流用し,高精度の波形計測だけでなく,パイプ試験体中に発生している振動モードの分布も取得できるようにした. 直径40mm,管厚2mm,長さ400mmのアルミニウム合金パイプに,深さ0.5mmの溝を周方向に彫った試験パイプに対し,溝部へのレーザ照射および振動受信によって,約17kHz, 26kHz, 37kHzの共鳴周波数が観測された.この周波数は,分散曲線による理論解析および半解析的有限要素法による数値解析においても,ほぼ等しい値を得ており,理論,計算,実験が非常によく合っていた.この理論・数値解析により,これらのモードは周方向に4, 5, 6個の節がある共鳴モードであることが示されていたが,レーザを用いた振動分布計測実験においても,これらのモードを示す分布が適切に得られた. 溝部でエネルギがトラップするため,周囲の保持状態などに影響を受けず,安定した振動を与えることができる.このことは,振動する溝部の微小な変化を微小な周波数変化として計測できることを示唆しており,今後高感度センサへの適用を模索していく.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理論解析,数値計算,実験いずれも順調に進行しており,論文としても発表することができているため.
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Strategy for Future Research Activity |
本手法をセンサへ利用するためには,現状の試験パイプのサイズを1/10~1/100にし,周波数を10倍~100倍にすることで,感度を向上させる必要があると考えている.次年は,小型試験パイプを用いた高周波での実験を行っていく.
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