2018 Fiscal Year Research-status Report
Site-selective analysis of local structure and electronic states of ferroelectrics using electron spectroscopic multi-probes
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18K18931
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
津田 健治 東北大学, 学際科学フロンティア研究所, 教授 (00241274)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森川 大輔 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (10632416)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | 電子線インコヒーレントチャンネリング / 軟X線発光分光 / 電子エネルギー損失分光 / 強誘電体 / ドープ原子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、電子線インコヒーレントチャンネリング(ICP)法を、BaサイトにCaをドープしたチタン酸バリウム試料に適用した。この方法は、異なる角度で入射した電子線が単位胞中の異なる位置をチャンネリングして励起される特性X線強度が変化することを利用する。通常の回折法では解析困難な特定ドープ原子サイトの局所構造・対称性情報を得ることができる。シリコンドリフトディテクタ(SDD)を搭載した透過型電子顕微鏡JEM-2010FEFにおいて、単一の強誘電ドメイン内からデータを得るための電子顕微鏡のレンズ条件を検討し、ビームロッキング時の電子プローブ最適条件を調べた。また、種々の結晶方位および角度範囲でCaドープチタン酸バリウムの特性X線分布を調べ、BaとCaで特性X線の異なる角度分布が得られることを見出した。これは、Ba原子サイトにドープされたCa原子が、センター位置からシフトしてBa原子とは異なる位置にあることを示しており、第一原理計算による予測を支持するもので、初めて単一強誘電分域から得られた結果である。現在、Ca原子のシフト量や方向などを定量的に決定するための特性X線分布のシミュレーションを行っている。 また、SDDのエネルギー分解能ではBaとTiの特性X線ピークを分離できないが、回折格子を用いる軟X線発光分光法(SXES)ではエネルギー分解能が十分高くこれらを分離可能である。同様に、電子エネルギー損失分光(EELS)法でもこれらに対応する吸収端を分離して情報が得られる。SXES法およびEELS法を用いてBaとTi原子周りの局所構造情報を得る実験条件について検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
電子線インコヒーレントチャンネリング法を用いることで、Caドープチタン酸バリウムのCa局所構造情報を単一強誘電ドメイン内から得るという主要な目標の一つを達成しつつある。このような情報を得ることはこれまで困難であったもので、電子線分光マルチプローブの、ナノ電子ビームによる微小領域選択および分光による原子サイト選択という2つの大きな特徴により可能となった。
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Strategy for Future Research Activity |
電子線インコヒーレントチャンネリング法について、シミュレーションを活用して、チタン酸バリウムのドープCa原子のシフト量および方向について詳細な情報を得る。これと並行してより特性X線検出効率のよい実験条件の探索を継続する。よりエネルギー分解能の高い軟X線発光分光法および電子線エネルギー損失分光法の適用を行い、BaとTi原子周りの局所構造を分離して調べ、さらに電子状態についての情報を得る。さらに、他のドープ原子を含む系への電子線分光マルチプローブの適用を試みる予定である。
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Research Products
(3 results)