2018 Fiscal Year Research-status Report
新しい欠陥エンジニアリング;双晶欠陥ゼロの3C-SiCへの挑戦
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18K18934
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
川西 咲子 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (80726985)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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Keywords | シリコンカーバイド / 溶液成長 / らせん転位 |
Outline of Annual Research Achievements |
3C-SiCは高いチャネル移動度を実現できるため、低損失の中耐圧MOSFETへの応用が期待される。しかし、高品質化が有望視される溶液成長では、デバイスキラー欠陥のDPB(Double positioning boundary)の形成により応用への道は開かれていない。そこで、Si-C対6層周期のステップを種結晶表層に構成させDPBの発生を抑制すべく、6H-SiCに内在する貫通らせん転位を利用した周期ステップ構造を作製し、新しい界面制御法の確立へと展開すべく研究を進めている。 2018年度は、周期ステップ構造に及ぼす6H-SiC基板の面極性の影響を調査した。その結果、C極性面と比較しSi極性面では非常にステップ間隔の小さな周期構造を形成することが確認された。この時のステップ間隔はBCF理論にて説明可能であることがわかり、周期構造の作製時の未飽和度にて整理することができた。次に、得られた周期構造上への3C-SiCの核生成を実施した。Si極性面上にて積層構造の揃った3C-SiCが得られ、狙い通りに下地構造に倣った核生成・成長を達成することができた。一方、C極性面上では3C-SiCの核生成は発生せず、6H-SiCのステップフロー成長が進行することが明らかになった。さらに、核生成の起点を解明すべく実施予定の高温界面のIn-situ界面観察に先立ち、光学系の改造に向けた予備検討を行った。明視野観察による光学系に微分干渉機構を追加し、分解能を更に向上させる方針に決定した。 以上、高品質結晶を得るために必須な3C-SiCの積層構造の制御にあたり重要な因子を検討し、下地基板として用いる6H-SiCの面極性の重要性を明らかにするとともに、界面制御法の確立に向けた具体的な方針を決定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
最終目標に掲げている高品質3C-SiCの育成に向け、下地基板として用いる6H-SiCに求められる重要因子を明らかにすることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、高温界面のIn-situ界面観察に用いる観察および加熱システムを構築する。微分干渉機構を有する光学顕微鏡を作製するとともに、試料の加熱に用いる集光加熱炉を調整する。これを用いて種々の高さのステップをもつ結晶の高温界面観察を実施し、高さ分解能を定量的に評価する。その後、界面観察を通じて3C-SiCの核発生の起点を解明する。
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Causes of Carryover |
今年度実施した下地基板の調査においては、所有していた材料を用いて実験を行ったため、冶具作製に必要な資材の購入以外での支出は不要であった。一方、当初今年度の実施を予定していた顕微鏡の改造に関しては、方針の決定にとどまったことから、それに要する諸費用を本年度は使用しなかった。未使用額は、次年度に予定する顕微鏡の部品購入および改造に使用する。
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