2018 Fiscal Year Research-status Report
臨界現象を利用したゼロ応力ヒステリシス超弾性材料の創成
Project/Area Number |
18K18937
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
田原 正樹 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 助教 (80610146)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | マルテンサイト変態 / 超弾性 / 形状記憶合金 / ドメイン構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は応力ヒステリシス(負荷時と除荷時の応力差)が極めて小さい超弾性材料の創成を目的とし、一次相変態であるマルテンサイト変態において、意図的に不純物元素を添加することでマルテンサイトドメインの微細化による二次相変態的挙動の発現を目指すものである。本年度は、本研究においてモデル材料として用いる多数のチタン系超弾性合金の作製と、機械的試験の環境整備、一部の合金における内部組織観察を重点的に行った。各合金の作製は問題なく完了した。また、透過型電子顕微鏡による内部組織観察の結果、当初より微細ドメインの発現が予想されていた酸素添加合金の他にSnやAlなどを添加した合金においても微細ドメインが観察された。これは本研究の着想が正しいことを意味しており、非常に重要な成果である。機械試験の実施環境の整備も完了していることから、現在までの進捗は当初の計画通り、順調に研究が進展していると考える。今後は微細ドメインが観察された合金において機械試験を行い、応力ヒステリシスの詳細な評価を行う。また、走査型電子顕微鏡の内部で引張変形(もしくは圧縮変形)中その場EBSD(後方散乱電子回折)/ECC(電子チャネリングコントラスト)観察に加え、応力下でのX線回折測定を行う。微細ドメインが存在する試料における超弾性挙動において、組織変化の過程を系統的に調査する。これらにより、マルテンサイト変態に及ぼす不純物元素の影響と、不純物による微細ドメインと応力ヒステリシスの関係を明らかにする予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では応力ヒステリシスが極めて小さい超弾性材料の創成を目的としている。その具体的手法は一次相変態であるマルテンサイト変態において、意図的に不純物元素を添加し、マルテンサイトドメインの微細化による二次相変態的挙動の発現を目指すものである。本年度は、モデル材料として用いる多数のチタン合金の作製と、機械的試験の環境整備、一部の合金における内部組織観察を行った。各合金の作製は問題なく完了した。また、内部組織観察の結果、当初より微細ドメインの発現が予想されていた酸素添加合金の他にSnやAlなどを添加した各合金で微細ドメインが観察された。これは本研究の着想が正しいことを意味しており、重要な成果である。機械試験の実施環境も整っており、当初の計画通り、順調に研究が進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は作製した各合金において、予想通り微細ドメインが生成していることを見出した。次年度はこれらの微細ドメインを有する合金において機械試験を実施し、応力ヒステリシスの評価を行う。また、SEM内で引張変形を行い、その場でEBSD/ECCI観察を実施する。さらに、引張応力下でのXRD測定もあわせて行うことで、不純物による微細ドメインと応力ヒステリシスの関係について明らかにする。
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Causes of Carryover |
おおよそ計画通りに支出しており、残額は160円のみである。次年度は当初の計画通り使用する。
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