2019 Fiscal Year Research-status Report
回折限界を超える極微細金属構造のレーザーファブリケーション
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18K18958
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
寺川 光洋 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 准教授 (60580090)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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Keywords | レーザー付加加工 / 三次元金属構造 / 高分子材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に着手した多光子還元による金属微細構造作製のレーザーパラメータ依存性の検討を継続するとともに、収縮性の高分子材料を支持体に用いることでその内部に作製した金属微細構造を収縮させる研究を行った。温度変化に応じて体積相転移を示すN-Isopropylacrylamide (NIPAM)ハイドロゲル内部に硝酸銀水溶液あるいは塩化金水溶液に浸透させた後、フェムト秒レーザーパルスを集光照射することでNIPAMハイドロゲル内部に銀もしくは金の微細構造を描画した。同構造はそれぞれの金属に応じたプラズモン吸収特性を示すため波長選択的光吸収が可能である。波長405 nmもしくは520 nmの連続光を外部刺激として照射することで支持体が収縮し、内部に作製した金属微細構造も収縮することを実験実証した。すなわち、本研究におけるマイルストーンのひとつである収縮性の高分子材料を支持体に用いることでその内部にレーザー描画した金属微細構造を収縮させるproof of conceptを達成した。 また、金属微細構造をより堅牢にする試みとして熱効果の利用を検討した。二光子還元により作製した金属構造は金属ナノ粒子の凝集した構造となる。ハイドロゲル内部の金属微細構造にレーザーエネルギーを吸収させることで熱効果を与え、金属ナノ粒子を溶着させることを試みた。金ナノ粒子は波長500 nmから600 nmの光吸収が大きく、多光子還元に用いる波長522 nmのフェムト秒レーザーパルスは還元による粒子生成に寄与するだけでなく、後続パルスは生成した粒子に吸収されると考えられる。特に高繰り返し周波数の条件では、熱蓄積が大きくなることが期待できる。繰り返し周波数の違いにより作製される構造の粒子密度が変化することを確認した。今後、ナノスケールの観察を行うことで溶着を評価する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究のマイルストーンのひとつである金属構造の収縮を達成した。ただし、加工寸法は最終目標値に達していない。今後、溶着の効果検証と並行して加工寸法に関する追加検討を行う。以上より、おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
計画通りに研究を推進する予定である。
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