2018 Fiscal Year Research-status Report
Development of a new power generation device based on thermopower wave
Project/Area Number |
18K18974
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐野 紀彰 京都大学, 工学研究科, 教授 (70295749)
|
Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
|
Keywords | thermopower wave |
Outline of Annual Research Achievements |
マサチューセッツ工科大学(MIT)のProf. M. Stranoらのグループが燃料電池を含む様々な種類の電池と全く異なる原理に基づいて発電が起こる現象である「熱力波(Thermopower wave)」を発見し、Nature Materialsに報告した(Nature Materials 9, 423 (2010))。本研究はこの熱力波を発電原理とし、かつStranoらが報告した発電デバイスの50倍以上の出力電圧を発生することができる実用レベルの新規発電デバイスを開発する。 本研究では、Stranoらが得た20 mVよりも50倍大きい1.0 Vを発生させる熱力波デバイスの作製に成功した。そのデバイス中で起こる反応や伝熱等の具体的な機構は不明のままであるが、今までの実験の結果より、炭素と混合したNaH2PO4に酸素を送りこんで燃焼することにより起こった高温によってガラス表面に蒸着膜を作ることが重要であることがわかった。 蒸着膜ができるときの燃焼温度は放射温度計により測定した。1000℃を超える高温であった。しかしながら、この温度が必要条件であるかどうかはまだ不明である。また、蒸着膜の構造も決定が終わっていないため、今年度の課題となる。 発電の測定では、発電デバイスから外に抵抗をいれた回路を作り、その抵抗を切り替える方式で最大電力の測定を行った。この方法自体にも新規性があり、その問題点や適用性についても検討する予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
熱力波デバイスの作製・開発およびその機構解明が本研究の課題である。現在のところ、十分な電圧発生が確認され、また機構解明のきっかけは掴んだつもりである。
|
Strategy for Future Research Activity |
より大電力を得られるためのデバイス構造を考案し、作製・実験を行う。また、キーとなる蒸着膜の分析や、発電時に起こる反応過程を明らかにするための実験を行う。
|
Causes of Carryover |
生じた次年度使用額はわずかであり、ほとんど残額はないと見なせる。それほど少額であるから、それをわざわざゼロにする必要は無いと考えた。
|