2018 Fiscal Year Research-status Report
Can cancer cells work as a factory that produces anti-cancer drug?
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18K18976
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
丸山 達生 神戸大学, 工学研究科, 准教授 (30346811)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | ガン細胞 / ペプチド脂質 / 酵素 / 抗ガン活性 / 自己組織化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、精密に分子デザインしたペプチド脂質がガン細胞に選択的に取り込まれ、ガン細胞内で過剰発現した酵素の作用により細胞毒性を発揮し、酵素を過剰発現したガン細胞のみを選択的に殺傷する抗ガン剤の開発を目的としている。これまで我々が開発したペプチド脂質型低分子ゲル化剤はガン細胞外に分泌される酵素に応答して、細胞毒性を示していた。このシステムでは、腫瘍組織周囲の正常細胞にまで毒性を示してしまう懸念があった。そこで本研究ではこれまでのペプチド脂質型低分子ゲル化剤の分子構造を元に、チロシン含有ペプチド脂質を数種開発し、その細胞毒性を、正常細胞やガン細胞を用いて調べた。チロシン含有ペプチド脂質はペプチド固相合成により合成した。脂質部分は、炭素数12から16程度の長鎖脂肪酸を用いた。細胞としては、微小血管内皮細胞、子宮頸がん由来細胞、皮膚がん由来細胞、消化管間質腫瘍細胞等を用いた。細胞内還元酵素を指標にした細胞生存率測定結果、ガン細胞の中でも特定のガン細胞のみに極めて強い毒性を発揮した。作用濃度は0.1 wt%以下であり、濃度依存的な毒性を示した。顕微鏡観察下でも、細胞死特有の細胞形状の変化が観察された。ここでは特定のガン細胞内でペプチド脂質が抗ガン剤に化学的に変換されている可能性が強く示唆された。次年度は、ガン細胞内での酵素(キナーゼ)に着目し、この酵素の触媒作用によるペプチド脂質の変換を明らかにする。現在既に酵素阻害剤の検討も行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ある種のガン細胞特異的に抗ガン活性を示すペプチド脂質を発見できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、ガン細胞が生産するキナーゼを定量的に分析し、ガン細胞死滅とキナーゼ活性の相関を明らかにしていく。同時にガン細胞死滅のメカニズムを明らかにし、これまでにない抗ガン剤の概念を世界に提案する。
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