2018 Fiscal Year Research-status Report
多元プラズマ触媒反応装置によるメタン直接変換技術の開発
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18K18982
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
山添 誠司 首都大学東京, 理学研究科, 教授 (40510243)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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Keywords | メタン転換 / プラズマ / 触媒 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はプラズマジェットを使った“多元プラズマ触媒反応システム”の開発と開発したシステムを用いた触媒反応を行った.5kV以上の交流(1kHz)電圧を印加できる電源とプラズマジェットを発生部を独自で開発した.マスフローコントローラーによりガス流量を制御し,プラズマ発生部にガスを導入し,排出されたガスはガスクロマトグラフィーにオンラインで接続された触媒反応システムを開発した.メタンをプラズマ化するためにHeプラズマを用いた.He気流中にメタンを混ぜることでメタンのプラズマ化に成功した.メタンのラジカル種の同定は発光分光により確認した.触媒なしの状態でもメタンからエタンの精製が確認でき,メタン転化率は約10%であった.次に,触媒としてシリカを用いた.プラズマジェット先端部にシリカ触媒を充填し,プラズマジェットを用いたメタン変換反応を行った.シリカ触媒を用いたところ,メタン転化率は約25%に向上した.このとこから,本プラズマ触媒反応システムの有用性を確認できた. 次に,二種類のプラズマジェットを使った反応システムの開発を行った.T字のガラス正反応管を作製し,上述のプラズマジェットを2つ設置した.プラズマジェットの先端部がT字の交点で重なるようにした.それぞれのプラズマの電位によりプラズマジェットの形状が影響を受けることなく,ジェット先端が交差することを確認した.現状では二つのプラズマジェットの周波数は完全同期しており,交流の位相をずらす機構がない.今後,位相をずらすために高圧電源とファンクションジェネレータを利用したシステムの開発が必要である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究計画では本年度に多元プラズマ触媒反応装置を開発し,次年度から触媒反応を行う予定であった.すでに多元プラズマ触媒反応装置の開発に成功し,今年度の目標を達成した.さらに,触媒反応も行っており,触媒としてシリカを用いることでプラズマを用いたメタン転換反応活性が向上することを明らかにしており,次年度の研究計画の一部を遂行している.よって,当初の計画以上に研究が進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は選択的カップリング反応を引き起こす担持金属クラスター触媒の開発を行う. 具体的には以下に示す3つのメタン直接変換反応を行う(()内は各反応の標準生成エンタルピー(kJ/mol)).いずれの反応も吸熱反応であるのが特徴である.①CH4+CH4→C2H6+H2 (66), ②CH4+NH3→CH3NH2+H2 (98), ③CH4+H2O→CH3OH+H2 (115).メタンのホモカップリング(反応①)に活性な触媒の開発では本反応では,プラズマにより生成したCH3ラジカルがのホモカップリングを起こすことが量子化学計算から予測されているCu10クラスターを中心に触媒を開発する.担体には今回,見つけたシリカ等の担体を用いる.触媒は,応募者が開発した,チオラート等の保護配位子によりサイズを制御した金属クラスターを固体上に担持した後に配位子を加熱除去する手法で精密合成する.メタンのヘテロカップリング(反応②,③)に活性な触媒の開発では,OHラジカルがCH3ラジカルと選択的に反応することが量子化学計算から予想されているNi金属クラスター触媒やNH2ラジカルが発熱的に吸着できるFenクラスター触媒を基に開発する.量子化学計算による触媒の設計,及び触媒活性に対するクラスターのサイズ・組成の効果の解明より,反応②,③のヘテロカップリング反応が選択的に進行する触媒を開発する.
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Causes of Carryover |
研究が予定よりも早く進んでいるため,次年度に行う予定であった多元プラズマ触媒反応装置の改良に必要な部品の購入を購入しようとしたが,納入に時間がかかることがわかったので,次年度に使用することにした.次年度使用額は8月までには使用する予定である.
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