2019 Fiscal Year Research-status Report
多元プラズマ触媒反応装置によるメタン直接変換技術の開発
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18K18982
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
山添 誠司 首都大学東京, 理学研究科, 教授 (40510243)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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Keywords | プラズマジェット / メタン変換 / ラジカル反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
難反応性のメタンを中心に水,アンモニア等の小分子を“部品”とみたて,これらを自在に結合させることで目的の化合物を得るボトムアップ式の合成法は,メタンからあらゆる化成品を合成できる可能性を秘めた画期的な合成法である.本研究では,その最初の研究として,触媒を用いてラジカル反応を制御し,メタンや水等の小分子のラジカル種の選択的なカップリング反応を可能にする“多元プラズマ触媒反応システム”の開発に挑戦する.本年度はファンクションジェネレータと高圧アンプを用い,任意の周波数・電位でプラズマジェットを発生させる新しい反応システムを開発した.放電特性を調べたところ,最初のプラズマを発生させるのに高い電位が必要であるが,一度,プラズマが発生すれば,低い電位でもプラズマジェットが発生し続けることを見出した.次に,このプラズマジェットを用いてメタン変換反応を行った.CH4/Heの反応ガスに対して電圧を印加しプラズマを発生させることでC2H6,C2H4,C3H8といった低級炭化水素の生成が確認された.プラズマを発生させない場合,反応は全く進行しなかったことから,プラズマによってCH4が活性化され,生成したCH3ラジカル種のカップリングが進行したと考えられる. 次に,O2,N2Oなどの酸化剤を含む混合ガスに対してプラズマを発生させ,メタン変換反応を行った.低級炭化水素に加えてCO,CO2,CH3OHなどの酸化生成物が確認された.酸素を酸化剤として用いた場合,CH3OHの生成速度は,0.243 mmol min-1g(cat.)-1に達した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
室温という低温で反応させることでプラズマジェット中で生成したメチルラジカルがO2やNOと反応することで部分酸化生成物であるCH3OHを生成することを明らかにできた.これは本研究で掲げている最終目標の一つであり,本研究の80%はすでに達成できていると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
O2やNOを導入することでメタンから部分酸化生成物であるCH3OHが生成することを見出した.しかし,生成機構については未だわかっていない.また,プラズマジェット中での触媒作用は全く明らかになっていない.今後は触媒表面に生成する中間体等を明らかにし,プラズマジェットによるメタン変換反応の反応機構を解明する.また,現在は触媒の改良は行っていない.反応機構を解明しつつ,本反応に活性な触媒の開発も進める.具体的には担体の種類と担持金属の組成・サイズを制御し,メタン変換反応に活性な触媒の開発を行う.さらに,目標としてる反応に,メタンとアンモニアによるメチルアミン生成反応がある.これはメチルラジカルとアミドラジカルのラジカルアップリングによりメチルアミンが選択的に合成できると考えており,ラジカル反応の制御によるC-N結合の形成を伴う新しい反応への可能性も検討する.
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