2019 Fiscal Year Research-status Report
欠損型ポリオキソタングステートを「分子るつぼ」とした異種二原子隣接合金の創製
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18K18997
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
加藤 知香 静岡大学, 理学部, 准教授 (00360214)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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Keywords | ポリオキソメタレート / 白金 / パラジウム / バイメタル / 隣接配位 / 光触媒 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,二種類の貴金属元素が一つのポリオキソタングステート構造に隣接配位したバイメタリック化合物を新規合成し,得られた化合物を高温焼成処理することにより「異種原子隣接ナノ合金」を創製することを目的としている。 本年度は,昨年度合成に成功した単核白金サイトを有する二種類の化合物([PW11O39{cis-Pt(NH3)2}]5-,[PW11O39{cis-Pt(Me2ppz)}]5-(Me2ppz = dimethylpiperazine))を出発錯体に用い,幾つかの水溶性パラジウム種((bpy)PdCl2(bpy = 2,2'-bipyridine),(Me2ppz)PdCl2,(en)PdCl2(en = ethylenediamine))と反応させることで,単核白金サイトの隣接部位に位置する末端酸素原子と各種パラジウム種との反応性について検討した。 その結果,[PW11O39{cis-Pt(Me2ppz)}]5-を各パラジウム種と反応させた場合,単核白金サイトに隣接する末端酸素原子の一部が反応してPt-Pdバイメタルサイトが形成したが,その純度は低く,固体で得るに十分な反応性が観測されなかった。一方,[PW11O39{cis-Pt(NH3)2}]5-と(bpy)PdCl2を水中で反応させた場合には優れた反応性を示し,Pt-Pdバイメタル化合物を純度90%以上の固体として得ることに成功した。 得られたPt-Pdバイメタル化合物の固体を光触媒として用い,可視光照射下でのトリエタノールアミン水溶液からの水素発生に対する活性評価を行ったところ,単核および二核白金種配位ポリオキソメタレートよりも高い水素発生効率を示すことを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,昨年度合成に成功した二種類の単核白金種配位ポリオキソメタレートと各パラジウム化合物を反応させることで,高純度でPt-Pdバイメタル化合物を得るための出発錯体の組み合わせを検討した。また,厳密な合成条件の制御により,Pt-Pdバイメタル化合物の固体を90%以上の高純度で得ることに成功した。得られた化合物のキャラクタリゼーションとして,元素分析,熱分析,核磁気共鳴分析,フーリエ変換赤外分光分析,可視紫外分光分析データの取得も完了している。 得られたPt-Pdバイメタル化合物を光触媒に用いた可視光照射下での水からの水素発生実験では,トリエタノールアミンを犠牲剤に用いた場合,単核および二核白金種配位ポリオキソメタレートよりも高い水素発生効率を示しており,バイメタルサイトの構築が光触媒活性の向上に有効であることを確認した。 上記以外の結果として,バイメタル化合物の構造決定に必要となる単核および二核パラジウム種配位ポリオキソメタレートの新規合成・構造解析にも成功しており,本年度の研究はおおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度までに得られたPt-Pdバイメタル化合物を低温度域-中温度域-高温度域の各温度域で焼成処理することにより,「異種二原子隣接合金ナノ粒子」への変換を誘導し,得られた貴金属ナノ粒子-タングステート構造体のナノ合金構造や物性に関する基礎データを収集する。比較実験として,我々が新規に開発した単核白金化合物,二核白金化合物,単核パラジウム化合物,二核パラジウム化合物を同条件下で焼成処理することで,各貴金属種配位サイトの構造変化や安定性に関する知見も得る。 各温度域での焼成処理により得られた貴金属-タングステート構造体を光触媒や酸化触媒へ応用することで,合金サイトが触媒機能や反応メカニズムに及ぼす影響について詳細に検討する。上記の研究を遂行することで得られた知見を基に,異種二原子隣接合金粒子-タングステート構造体の固体表面への均一担持技術を開発する。再利用や耐久性に関する実験も遂行し,厳しい環境下でも長期的に触媒機能を維持できる高機能・高強度化貴金属ナノ合金材を創製する。
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Research Products
(12 results)
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[Book] Green Science and Technology2019
Author(s)
Enoch Y. Park, Takayuki Saito, Hirokazu Kawagishi, Masakazu Hara, Hiroyuki Futamata, Hirofumi Hirai, Idzumi Okajima, Koji Miyake, Nobuyuki Mase, Rumi Sohrin, Rei Narikawa, Toshiyuki Ohnishi, Yasushi Todoroki, Mitsuru Kondo, Chika Nozaki Kato, Tetsuo Narumi, Masamichi Yamanaka, Tatsuya Kato, Takatsugu Miyazaki, Jia Jin
Total Pages
350
Publisher
CRC PRESS
ISBN
0367415135
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