2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K18998
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
齋藤 永宏 名古屋大学, 未来社会創造機構(工), 教授 (00329096)
|
Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
|
Keywords | ヘテログラフェン / ソリューションプラズマ / p型半導体 / n型半導体 / 太陽電池 |
Outline of Annual Research Achievements |
グラフェン材料は、次世代の電子材料として期待されています。しかし、材料機能を制御するためには、一部の炭素を炭素とは異なる元素に置き換えること(ドーピング)が必要です。このドーピング技術は、シリコンをもとにつくる半導体の分野では、従来から行われてきた技術です。シリコン半導体分野では、このドーピング技術を駆使し、様々な半導体デバイスが生み出されており、我々の生活を豊かにしてくれています。一方、グラフェンへのドーピングでは、異種元素の導入にともない、そのグラフェンの特性の起源とも言うべき平面性が失われるという問題点があったため、カーボンデバイス開発に向けた大きな障壁となっていました。 本研究では、まず、n型グラフェンとして、ソリューションプラズマ合成技術により、EMIM-DCA(1-エチル-3-メチルイミダゾリウムジシアナミド)を原料として陽イオン性注窒素の導入を行いました。その結果、その平面性を維持することを可能にしました。窒素の含有率は重量比で16.5%です。15%以上の窒素を含み、かつ、高い結晶性・平面性を有するグラフェンとしては、世界で唯一の材料と言えます。この半導体特性を調べた結果、p型半導体特性を示すことが分かりました。通常、窒素をドープした場合は、n型半導体注特性を示すことが一般的です。今回は、陽イオン性窒素を導入したことにより、正孔(ホール)をキャリアとして機能させることに成功しました。 さらに、n型グラフェン半導体、p型グラフェン半導体の材料合成を進めました。アニリンを原料としたテログラフェンの合成でも、p型グラフェンの合成に成功しました。一方、ピリジン及びボロン酸混合溶液から合成では、n型グラフェンの合成に成功しました。 しかし、現在、キャリア密度が十分に導入できておらず、物質合成プロセスの最適化を進めていています。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の予定は、p型、n型が合成できたことから概ね順調に進捗している。ただし、ホール効果測定において、p型及びn型半導体の判別は可能であるが、その性能では、予想する値よりも小さい。この原因は二つあると考えられる。まず、ヘテロ原子(ここでは、窒素及びボロン)が、期待している以外の電子状態でドープされている。窒素の場合、XPSの測定上、全体の窒素のドープ量に対して30%台にとどまっている。次に、合成において、目的外物質を多く含んでいるということである。目的物質の分離精製が必要である。
|
Strategy for Future Research Activity |
合成後の後プロセスの開発を行う。化学処理により、所定の化学結合状態を有した窒素及びボロンの化学結合状態を変化させる。次に、合成カーボンの分離精製プロセスの開発を行う。以上より、現在までの進捗にあげた問題解決を行う。
|
Causes of Carryover |
太陽電池の作製に経費を次年度に研究計画上変更したため。
|
Research Products
(1 results)