2018 Fiscal Year Research-status Report
光照射に伴う双極子を力として検出する近接場光学顕微鏡の単原子観察条件の研究
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18K19003
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
菅原 康弘 大阪大学, 工学研究科, 教授 (40206404)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | 走査型プローブ顕微鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
物質近傍に局在する光(近接場光)を検出し、回折限界を超える光学顕微鏡を実現しようとする試みが行われてきた。しかし、先鋭化した光ファイバや金属探針を用いて近接場光を伝搬光に変換する方式では、原子分解能(0.2nm以下)での観察は困難であった。そこで、本研究は、「物質表面の個々の原子を原子分解能で観察可能な次世代の光学顕微鏡を開発すると共に、その原子分解能観察の機構を解明すること」を目的とした。 本年度は、まず、近接場光を高分解能に測定するために制限している因子(近接場光から力への変換効率や、カンチレバーの変位検出計の雑音、カンチレバーの熱振動、カンチレバーのバネ定数や振動振幅などの測定条件)を理論的に検討し、近接場光を力として高分解能に測定するための条件を求めた。 次に、近接場光を高感度に測定するため、カンチレバーの変位検出計(光ファイバ干渉計)の低ノイズ化を実現した。具体的には、現有の変位検出計では、光源のノイズにより検出感度が制限されているので、光源のノイズの影響を低減する差動光検出回路を導入し、変位検出計の低ノイズ化を実現した。 また、近接場光による力を高感度・高分解能に測定するため、ばね定数が大きく、共振周波数の高いカンチレバーを導入した。カンチレバーの熱振動が減少し、力の検出感度が向上する。また、小振動振幅(0.1nm程度)での動作により、探針・試料間の相互作用時間が長くなり、力の検出感度が一桁以上向上し、空間分解能も向上した。 物質表面を変調された光で照射し、カンチレバーの周波数シフトに現れる変調成分をロックインアンプで検出すことにより、近接場光を測定する。近接場光を高分解能に検出するためには、バックグランド光を低減した光照射系を実現することが重要である。そこで、不要反射が極限まで低減するように光照射系を改良した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、近接場光を高分解能に測定するために制限している因子を理論的に検討し、近接場光を力として高分解能に測定するための条件を求めた。次に、近接場光を力として高感度・高分解能に測定するため、近接場光学顕微鏡の様々な構成要素の低ノイズ化を実現した。具体的には、カンチレバーの変位検出計の高周波化と低ノイズ化を実現した。また、カンチレバーの小振幅動作を実現し、力検出の高感度化・高分解能化を実現した。さらに、バックグランド光を低減した光照射系を実現した。このように当初の研究計画通り進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、まず、近接場光を力として高分解能に測定するための条件を実験的に検討する。次に、近接場光の分布を原子スケールで超高感度・超高分解能に観察できることを実証する。試料表面としては、原子レベルで清浄で平坦な表面が容易に得られる金表面や、その上に吸着させたルブレン分子やペンタセン分子を取り上げる。さらに、これら有機分子のπ軌道やσ軌道が、近接場光の3次元分布としてどのように撮像されるかを理論的・実験的に検討し、画像化機構を解明する。
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