2018 Fiscal Year Research-status Report
界面電子状態密度制御によるSiナノワイヤの熱電変換指数巨大化への挑戦
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18K19005
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
磯野 吉正 神戸大学, 工学研究科, 教授 (20257819)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | Siナノワイヤ / 熱電変換 / 界面電子状態密度 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究の第一年度は、主としてALD装置によるSiNWへのAl2O3被覆絶縁層の形成技術の確立、およびMEMS技術を用いたSiNW群の熱電変換特性評価デバイスの開発研究に取り組んだ。前者においては、SiNWへの被覆には成功したものの、最適条件を抽出するに至っていない。今年度は、薄膜形成中の基板温度制御を高精度に実施できるように、装置を改良する予定である。一方、後者においては、解析研究と実験研究を実施した。先ず解析研究では、SiNW群を用いた熱電変換デバイスに関する熱-電気等価回路モデルを作成し、解析によって熱電変換出力のSiNW密度依存性を解明した。これにより、デバイス開発に必要なSiNW群の密度情報を得ることができた。実験研究においては、触媒用金ナノ粒子のトレンチ側壁への選択的配置の実現、マイクロトレンチ間でのVLS成長SiNW群の架橋、およびTEOSを原料としたSiO2絶縁膜の被覆形成に成功し、SiNW群を用いた熱電変換特性評価デバイスを試作開発することができた。本年度は、このデバイスを用いて、架橋SiNW群のI-V特性評価、ゼーベック電圧の計測を実施した。I-V評価では、金ナノ粒子-Si境界でのショットキー障壁に起因した非線形性が確認された。また、ゼーベック電圧の計測では、温度増加に伴う同電圧増加が確認できた。ただし、ゼーベック電圧は約~35 μVと解析で予想される値より非常に小さくなった。今後、より大きなゼーベック電圧出力を得るために、SiNW群にマイクロヒーターからの熱を効率よく伝えられるように、デバイスに断熱構造を適用する必要があると考えられる。また、今後はデバイス構造およびプロセスフローの再検討を行うとともに、SiNW群に大きい温度差を付与できるヒーター構造を実現していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請当初の計画どおり順調に研究成果を得ている。とくに、MEMS技術を用いたSiNW群の熱電変換特性評価デバイスの開発研究では、触媒用金ナノ粒子のトレンチ側壁への選択的配置、同トレンチ内でのSiNW群の架橋成長、およびTEOSを原料としたSiO2絶縁膜の被覆形成に成功し、当初予定より早く同デバイスの試作開発に成功した点が大きな成果である。これにより、デバイス製作における各種プロセス上の問題点を抽出することができた。但し、現時点ではAl2O3絶縁膜形成技術の確立については、当初予定より若干遅れており、早急な研究推進が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
申請当初の計画では、SiNWへの不純物ドーピングについて十分な検討がなされていなかったが、Uni-leg熱電変換構造を実現するためには、p型SiNW群の架橋が必要となる。そこで、研究の第二年度では、トレンチ内で架橋成長したSiNW群にボロン(B)を含んだ単分子膜を蒸気成膜した後に、熱拡散法によってp型SiNW群とする「Monolayer Doping」技術を確立していく。これにより、ゼーベック電圧の増加も期待できる。既に簡易的な実験を終了し、Monolayer Doping法によって比抵抗値が大きく変化することを明らかにしている。今後は、熱拡散時間と温度の合理的条件の抽出が必要となる。
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Research Products
(1 results)