2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K19016
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
舟窪 浩 東京工業大学, 物質理工学院, 教授 (90219080)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | 酸化ハフニウム基強誘電体 / 圧電性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、2011年に見出された蛍石型構造強誘電体について、これまで不可能とされてきた厚膜化と圧電特性の飛躍的な向上を実現することで、圧電MEMSへの応用を開拓することである。 毒性元素の鉛を含み、Siプロセスとの適合性が悪い鉛含有ぺロブスカイト構造酸化物に限定されていた圧電MEMS材料を、毒性元素を含まず、Siプロセスとの適合性が高いHfO2基強誘電体に置き換えることで、停滞している圧電MEMS用材料のイノベーションを目指す。 本年度は下記の成果を得た。 (1) スパッタ法を用いて、(111)ITO//(111)YSZおよびITO/Pt/S基板上に膜厚約1ミクロンまでのYドープHfO2膜を作製し、強誘電性相である直方晶(斜方晶)を主相とする膜を作製することができ、強誘電性に起因する分極―電界ヒステリシス特性が得られることを見出した。また、得られた強誘電性に大きな膜厚依存は認められなかったことから、膜厚依存の無い安定した強誘電性の特性発現が確認された。 (2) 上記で得られた膜は、膜厚の増加に伴って{100}に配向する傾向が観察された。そこで(100)ITOが得られる(100)YSZおよび(100) YSZ/(100)Si基板上に膜を作製したところ、ほぼ{100}に単一配向した膜の作製に成功した。また、(100) YSZ/(100)Si基板上には、膜面内の配向も揃ったエピタキシャル膜の作製ができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初難易度が高いと思われた強誘電性を有するHfO2基薄膜を、膜厚約1ミクロンまで作製することに成功した。特に、応用上重要なSi基板上に{100}単一配向膜が得られた成果は大きい。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は圧電特性の評価を行うことで、得られた膜の特性をより明らかにしていく予定である。また圧電性を向上させるため、これまで明らかにされていない圧電性の結晶方位依存性は、基板種依存性等を明らかにする予定である。
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Causes of Carryover |
当初購入が必要と考えていたいくつかの装置の消耗品が当初予定より安く購入できた。また、当初予定より順調に強誘電性が得られらたため、製膜より評価に研究のウエイトをおくことができた。結果として、製膜に必要な基板等の消耗品が予定より少なくて済んだ。 今後は、昨年度十分にできなかった試料の微構造の外部評価や、実験をより多く行うための消耗品の購入を行っていく予定である。
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Research Products
(2 results)