2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K19021
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
塩田 陽一 京都大学, 化学研究所, 助教 (70738070)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | スピントロニクス / スピン波 / イットリウム鉄ガーネット / 電界効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、情報化社会の急速な進展により、電子機器の低消費電力化が求められている。そこで、磁性体中の磁気モーメントの波であるスピン波(マグノン)を用いた研究が注目を集めており、「マグノニクス」と呼ばれている。スピン波を伝搬させる媒体としては強磁性体が用いられるが、絶縁体においても情報伝送を行うことができるため、ジュール熱損失の影響がほとんどない低消費電力な電子機器の実現が期待されている。本研究では、強磁性絶縁体であり磁気緩和定数が小さくスピン波伝搬媒体としてよく用いられるイットリウム鉄ガーネット(YIG; Y3Fe5O12)薄膜の磁化ダイナミクスを電界によって制御することを目的とする。また、特にナノメートルスケールで膜厚制御された高品位なYIG薄膜をスパッタリング法により作製し、新規なナノスケールマグノニクスの開拓を目指す。 本年度は、スパッタリング法によるナノメートルスケールのYIG薄膜作製の条件出しを行い、電界効果用のデバイスを作製し、スピン波共鳴周波数の電界変調の測定を目指して測定を行った。 まず薄膜作製の条件出しについては、スパッタリングの際のアルゴンガスの流量、および成膜後に加熱する温度・時間に依存して、磁気緩和定数が大幅に変化する事がわかった。それぞれの条件を最適化することで20nmのYIGでも比較的低い磁気緩和定数を有するYIG薄膜を作成する事ができ、実際にスピン波の伝搬を観測することに成功した。 次に、電界効果用のデバイスを作製した。膜厚方向に電界を加えるデバイスは作成が難しいため、面内方向に電界を加えるようなデバイスを作製した。膜面垂直に磁場を加えた状態でスピン波を伝搬させ、そこに電界を加えることで、スピン波の共鳴周波数の変調が観測された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
スパッタリング法を用いたYIG薄膜の作製については、条件出しのパラメータが多く苦労した点もあったが、アルゴンガスの流量および成膜後の加熱の条件が膜質によく効いてくることがわかった。またスピン波の伝搬も観測する事ができ、ナノメートルスケールのYIG薄膜の作製に関しては、比較的順調に進める事ができた。 電界効果用のデバイスに関しては、本来であれば膜面垂直方向に電界を加えるようなデバイスの作製を目指したが、YIG薄膜の下地に金属層を用いる事が難しく、今回は微細加工によって膜面面内方向に電界を加えるようなデバイスを作製した。強磁性体金属で観測された電界効果とは全く異なるスピン波の変調が観測された。 以上の事から、当初の研究計画通りおおむね順調に進展していると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
YIG薄膜の作製に関しては、引き続き最適化を行っていきたい。また、今回は膜面面内方向に電界を加えるようなデバイスで電界効果の観測を行ったが、加えられる電界が小さいために大きな変調は得られない。そこで、膜面垂直に電界を加えるようなデバイスを作製して、YIG薄膜におけるスピン波のより大きな電界変調の観測を目指す。
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Research Products
(6 results)