2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K19023
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
阿部 真之 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (00362666)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | スピン流 / カンチレバー / 力検出 |
Outline of Annual Research Achievements |
スピンデバイスの課題の一つとして、スピン流発生部とスピン流検出部との間に存在する付着物(コンタミネーション)によって、大幅にスピン流の検出効率が下がることがわかっている。これはスピンとコンタミネーションが相互作用していることを意味している。本研究ではこの問題点を逆手にとった実験手法として、コンタミネーションの代わりに測定試料をスピンデバイス近傍に配置させたカンチレバーに取り付け、スピン流を検出することを目的とする。具体的には、超高分解能原子間力顕微鏡とスピンデバイスの技術を融合させ、スピン流を力学的に検出する手法を開発する。スピンデバイスを改良したスピン流発生源近傍に、スピン流と反応する試料が取り付けてあるカンチレバーを配置させ、スピン流との相互作用によって生じたカンチレバーの応答を高感度に測定する。具体的には、まず、スピン流を効率良く力学的応答に変換する必要があるので、装置構成に対応するカンチレバーの開発が不可欠である。力検出感度を高めるために、スピン流検出用の微小でバネ定数が小さいカンチレバーと力検出系を開発する。次に、連携研究者である浜屋が現在開発しているハーフメタルスピン制御手法を駆使して、スピン流の発生を向上させ、現状の10倍となるスピン流量の改善に挑戦する。また、結晶成長の制御技術を用いて、スピン流に指向性を持たせることにも挑戦する。これらを併せて、最終的には、高効率のスピン発生源と原子間力顕微鏡の技術を応用したスピン流検出装置を設計・試作する。極低温環境下や液中環境下でも利用できるように小型化(直径3cm以下)を目指す。本年度は本研究に最適なカンチレバーの開発のための設計およびシミュレーションに注力し、本研究で利用できる力検出系の検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
スピン流を効率良く力学的応答に変換する必要があるので、装置構成に対応するカンチレバーの開発が不可欠である。力検出感度を高めるために、スピン流検出用の微小でバネ定数が小さいカンチレバーと力検出系を開発することに注力した。検出感度を高めるには、共振周波数をあげてばね定数を低くする必要があるが、どちらもトレードオフの関係があるため、まずシミュレーションを行い、カンチレバーの形状と共振周波数、ばね定数の関係を調査した。シミュレーションを行うにあたっては、実際にエッチング処理によって所要の仕様のものが作製できるかどうかも考慮しながら行った。カンチレバー変位の検出にはこれまで我々のグループで実績のある光干渉方式を採用することを検討しているが、用いている光ファイバーのサイズによる制約があり、それを配慮した設計を行った。カンチレバー(片持ち梁)の場合は共振周波数を上げることが難しいため、非常に柔らかいカンチレバーを作製することで対応するが、共振周波数が高い両持ち梁構造の検討に注力した。窒化シリコン上は上にMembrane構造を作製し、それをダイシングやFIG加工を行うことで構造が作製でき、かつ光干渉との接続が可能であることがわかってきた。様々な構造を検討したが、使用できる両持ち梁は共振周波数140kHz、ばね定数5N/m程度であることがわかった。今後は、カンチレバーの設計お行っていく必要がある。また、カンチレバーを作製するためのシリコンエッチング装置の準備を行った。具体的には、スターラー付きオイルバスヒーターと、冷却管等のガラス器具、エッチング用試料ホルダ等を準備した。
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Strategy for Future Research Activity |
カンチレバーの設計に時間がかかり進展が遅れているが、今年度はスピン流を検出する装置の設計および開発にも注力していく。高効率のスピン発生源と原子間力顕微鏡の技術を応用したスピン流検出装置を設計・試作する。極低温環境下や液中環境下でも利用できるように小型化(直径3cm以下)を目指す。高効率スピン流発生源、スピン流検出用カンチレバーの開発は、大阪大学の共同利用設備である電子線露光装置等を利用することで進めていく。作製したスピン流の力学的検出システムの実験は、測定感度を向上させるために、極低温真空環境下で行う。装置は現有の極低温冷凍機と真空チャンバーを流用する。
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Causes of Carryover |
カンチレバー設計に時間がかかり、検出装置の設計ができなかった。今年度はその遅れを取り戻すために装置設計に注力する。
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Research Products
(25 results)
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[Journal Article] Bifacial nucleobases for hexaplex formation in aqueous solution2018
Author(s)
H. Kashida, Y. Hattori, K. Tazoe, T. Inoue, K. Nishikawa, K. Ishii, S. Uchiyama, , H. Yamashita, M. Abe, Y. Kamiya, H. Asanuma
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Journal Title
J. Am. Chem. Soc.
Volume: 140
Pages: 8456-8462
DOI
Peer Reviewed
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