2019 Fiscal Year Research-status Report
1分割スプリットリング共振器を用いた光磁界分布イメージング技術の開発
Project/Area Number |
18K19024
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
岡本 敏弘 徳島大学, ポストLEDフォトニクス研究所, 准教授 (60274263)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原口 雅宣 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(理工学域), 教授 (20198906)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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Keywords | 光磁界分布 / スプリットリング共振器 / 電気磁気効果 / 光メタマテリアル / イメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
微小球リソグラフィ法で作製した直径約100nmの1分割銀スプリットリング共振器(SRR)が2次元的に高密度配置したメタマテリアルを作製し、プリズムを用いた全反射配置で白色光を斜入射(TE偏光)したときに生じる、プリズム底面側(透過側)の散乱スペクトルを測定した。入射光と同じ偏光成分を持つ散乱光は波長600nmでピークとなり、入射電界によってSRRに励起された局在表面プラズモン共鳴励起を意味する信号が得られた。一方入射光とは直交する偏光成分を持つ散乱光は、波長800nm付近でピークとなった。この波長はSRRを貫く入射光の磁界成分によってSRRの磁気共鳴が励起することが可能な波長であることから、入射磁界によって磁気共鳴(ループ電流)が励起され、1分割SRR形状によって入射電界とは直交する電気双極子を誘起し、生じた散乱光を観測していたといえる。つまり、1分割SRRから成る2次元メタマテリアルにおいて、入射磁界で電気双極子を誘起する「電気磁気効果」が生じることを証明した。 1個の1分割SRRによる光散乱現象について有限差分時間領域(FDTD)法によるシミュレーションを行い、磁気共鳴励起時における光散乱現象と電気磁気効果について明らかにした。これにより、回転対称性の崩れたSRRを用いることで、磁気共鳴波長では入射偏光と直交する散乱光成分が入射光と同じ偏光成分よりも強くなること、その散乱光の放射方向はSRR形状に応じた偏りが生じること等を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実験光学系の内部反射による迷光(ノイズ)が大きく、それに対する2次元メタマテリアルで生じる2光束干渉に対応した散乱光が微弱すぎて光磁界分布に対応した信号検出に至らなかったため、光学系と観測手段の大幅な見直しを行い、全反射配置を用いた暗視野光学系に転換するなど行ったため遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
光学系の見直しによって構築した全反射配置における顕微暗視野光学系を用いて、1個のSRRの電気磁気効果による散乱光観測実験を進める。光磁界の空間分布はこれまで同様に2光束干渉場を用いる。イメージングのためには、ピエゾ素子を用いてSRR位置をサブミクロンスケールでスキャンし、光磁界分布に応じた散乱光強度変化を観測する。SRR位置の高精度スキャンが難しい場合は、SRRは固定する代わりに2光束干渉の片方の光の位相をリターダで変調するなどして干渉場をスキャンする。以上の方法を用いて、光磁界イメージングが可能であることを実証する。
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Causes of Carryover |
予定していた光磁界の検出方法を、SRRが高密度に分布した2次元メタマテリアルの光散乱ではなく1個のSRRの光散乱を空間スキャンで検出する方法に変更するなど、研究期間を延長して、光学実験を次年度に実施することになった。そのため次年度使用額が生じた。
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Research Products
(1 results)