2018 Fiscal Year Research-status Report
Development of a super-resolution optical-measurement technique with ultraviolet entangled photons using a semiconductor
Project/Area Number |
18K19035
|
Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
大畠 悟郎 大阪府立大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (10464653)
|
Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
|
Keywords | 量子もつれ光 / 量子干渉 / 量子計測 / 量子光学 / 励起子分子 / 半導体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では励起子分子共鳴ハイパーパラメトリック散乱(RHPS)を光源として発生させた高輝度量子もつれ光子によって,多光子量子干渉を成功させ,超分解能光計測の実現を目指すものである. 初年度である2018年度では以下に示す主に2つの進展があった. まず,基本的な2光子干渉から多光子干渉への拡張のしやすい偏光を用いた干渉系の構築と2光子干渉の確認を行った.これは同軸上に干渉系を組むことが可能となることから,系の安定性とシグナル・ノイズ(S/N)比の向上が期待できるものである.我々は,構築した系により以前よりS/N比が遥かに向上した2光子干渉の測定結果を得ることに成功した. また,一方で今回,高次の干渉を安定的にかつ高度に生成・制御するための準備として,2つの装置を新たに導入し開発を行った.一つは,空間光変調器(SLM)を用いた,ポンプ光の周波数制御系である.本研究ではポンプ光の波長が近紫外領域である390nmを制御する必要があるため,新たに専用のSLMを導入して開発を行った.その結果,周波数の任意の選別ができるポンプ光の生成が可能であることを確認した.もう一つは,偏光の自由度を用いた干渉をより高度にかつ高速に行うため,液晶を用いた位相変調器(液晶リターダ)を導入し,この開発を行った.これについても,所望の偏光に数十ミリ秒で光ビームの偏光を変化させること,また多光子干渉に耐えうる光学系となることを確認した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2018年度における,研究の進捗状況は,当初の研究計画に対して概ね計画通り達成されていると考えられる.計画では,最初の段階として,「非同軸二色励起法の光学系改善と2光子干渉実験」を目標にしていた.初年度は主にこの段階の開発に集中し,おおよそこの段階を達成,完了していることから上記の様な進捗状況の判断に至った.以下に,その詳細を示す. (1)非同軸二色励起法によって得られたRHPSから発生した量子もつれ光子対に関して,偏光に関する自由度を用いた2光子干渉実験系を構築し,これにより明確な干渉の結果を得た.これは同軸状に発生した光子対をより効率的に干渉させることに成功したことに対応し,今後のさらに高度で複雑な実験へ向けて大切なステップである. (2)SLMを新たに導入し,これを4F光学系に組み込むことによって,任意の周波数変調をかけることが可能になる.当年度では,これを完成させ,任意の周波数を生成させることに成功している.次の段階として,これを励起光として用いることにより,さらなる効率的な多光子生成が可能となる. (3)液晶リターダを新たに導入し組み込むことにより,より制度の高い偏光自由度に対する光子干渉の系を作成するのに成功した.またこれにより,測定にかかる速度についておおよそ1桁程度の向上が見込める. 一方で,これらすべてを組み合わせるところまでは到達しておらず,次年度の課題である.対物レンズの導入とともに,今後早急に行う予定である.
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度として,これまでに組み上げた実験系を元にしつつ,SLMと液晶リターダを組み合わせて高度化を図る.2光子を超える多光子を発生させ干渉を測定する場合,干渉系の精度のみならずRHPSによる量子もつれ光子生成そのものの効率と精度を向上させる必要がある.SLMを用いた系は励起光の周波数と空間モードの制御を,液晶リターダによって干渉系の精度と測定速度の向上を達成する. また今後は,対物レンズを用いることにより,RHPSによる光子生成の空間モード向上とそれによるさらなる生成効率とS/N比の向上を期待している.さらに,従来より高効率な検出効率を有する光子検出器の購入も計画しており,これらの周辺の技術を丁寧に組み合わせることにより,4光子の量子干渉実験を行う予定をしている.この実験が成功すれば,位相感度として100nm以下の波長に対応した干渉を実現することになり,これは可視光の回折限界を大きく超える値である. また,この実験をさらに発展させ多光子における空間的干渉実験を行う予定である.具体的には,二重スリットと透過型回折格子による空間干渉を得ようとするものであり,検出にはファイバーを組み合わせて空間スキャンを行う多光子検出系を構築する. 目標としてはそれぞれの実験で4光子干渉の観測を目指すが,測定が困難な場合は実験難易度の低い3光子の干渉から順番に確認していく予定である.この変更に関してはほとんど実験系を修正する必要はない.
|
Causes of Carryover |
人件費が余った為,次年度の研究費と共に使用する.
|
Research Products
(8 results)