2019 Fiscal Year Annual Research Report
Study on On-site Recovery of Integrated Circuit Failed by Gamma Ray Irradiation
Project/Area Number |
18K19040
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
田中 秀治 東北大学, 工学研究科, 教授 (00312611)
|
Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
|
Keywords | 集積回路 / 放射線 / センサ |
Outline of Annual Research Achievements |
集積回路にガンマ線が入射すると電子-ホールペアができ,移動度の小さいホールがゲート酸化膜にトラップされて絶縁膜,および絶縁膜/半導体界面チャージアップする。その結果,集積回路が動作不能になる。このような集積回路の動作不良は,加熱によって積極的にチャージを逃がすことによって回復させられる可能性がある。 本年度は,量子科学技術研究開発機構との共同研究によって,2種類の集積回路に対してガンマ線暴露試験を行った。1つは単純なリングオシレータであり,これにマイクロヒータと断熱のためのダイヤフラム構造を作製している。もう1つは別のプロジェクトで開発した「センサ・プラットフォームLSI」であり,回路規模の大きなものである。 リングオシレータの発振周波数は数百から数千Gyのガンマ線の照射によって変化したが,一定の傾向とならなかった。一方,リーク電流と閾値電圧には明確な変化が見られた。ガンマ線照射によって不動となったものが,加熱によって回復する現象が観察されたものの,再現性良くこれを行うことはできなかった。 センサ・プラットフォームLSIについては,ガンマ線照射,および加熱の前後に,3.3 V電源と1.2 V電源の電流の変化を観察した。1 kGyまでのガンマ線照射によって3.3 V電源の電流が大きく増えることが確認され,不動となるLSIもあった。不動となったLSIが加熱によって回復する現象も確認された。また,室温で長時間(2週間)放置することで,動作を回復したLSIもあった。しかし,いずれの試料でも3.3 V電源の電流は完全には元に戻らなかった。 本研究から,ガンマ線照射によって影響を受けた集積回路が加熱によって回復することはあるが,その確実性・制御性に問題があることがわかった。今回,既存のLSIを利用して実験を行ったため,確実に回復させるための要件は明らかにできなかった。これは今後の課題である。
|