2018 Fiscal Year Research-status Report
Mechanochemical effects for development of impurity removal processing from natural ore and in situ observation
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18K19041
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
加納 純也 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (40271978)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篠田 弘造 東北大学, 多元物質科学研究所, 准教授 (10311549)
石原 真吾 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (40760301)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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Keywords | メカノケミカル / シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
天然鉱石からの不純物除去を目指し、粉砕操作によるメカノケミカル効果を利用した分離プロセスを開発する。 粉砕による鉱石の微粒子化、不純物質や有害物質の無害化、分離除去を達成する技術を基盤とし、機械的エネルギーの付与が鉱石に及ぼす物理化学的な性質の変化を高輝度X線により詳細に観察し、メカノケミカル効果の本質的な現象を試みた。 放射光施設SPring-8におけるXAFS測定を実施し、粉砕処理の有無による鉱石の化学状態の変化を測定した。測定では蛍光法によるバルク情報の取得と共に、転換電子収量法による表面近傍における情報を取得し、粉砕によるメカノケミカル反応が鉱石粒子のどこで、どのように生じるのかについて解析を行った。 粉砕前ではヒ素は鉱石中に硫化物として存在しているが、粉砕処理を施すことで酸化され、水に溶出しやすい形態に変化することがわかった。粉砕条件により水への溶出度が変化し、乾式や湿式等の種々の粉砕条件について調査を行っている。乾式と湿式粉砕を比較すると、乾式粉砕の方が酸化をより促進し、湿式粉砕では比較的酸化が緩やかであった。乾式粉砕では表面と鉱石全体では酸化速度に差があるが、湿式粉砕では表面情報と鉱石全体の情報の差が小さく、全体的に酸化されていくことがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
鉱石の転換電子収量法での測定では、導電性が極端に低いことによる試料のチャージアップが問題となり正確な測定が実施できなかった。導電性を改善するため、インゴットインジウムに試料を埋め込んで測定する方法、カーボンコートを施し、コート膜厚で導電性を制御する方法により測定を実施した。その結果、カーボンコート膜厚を約20μmとすることで良好な測定結果を得られることがわかった。粉砕による試料の表面およびバルクでの情報の差異が認められ、メカノケミカル反応の進行過程に資する情報を得られている。 以上のことから、研究は概ね順調に進展していると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策としては、非活性雰囲気下での粉砕を実施し、試料の酸化を制御した状態での測定を実施する予定である。粉砕中の雰囲気や、粉砕後からXAFS測定までの試料の保管状態で酸化状態が変化すると考えられることから、雰囲気制御下での粉砕後速やかにXAFS測定を実施し、粉砕によるメカノケミカル効果のその場観察を進めていく予定である。また、コンピュータシミュレーションによる粉砕場の可視化、および結晶構造変化や化学反応解析モデルを構築し、数値計算の観点からメカノケミカル反応場の可視化の試みを進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
既存設備等の有効活用、SPring-8での測定実施にかかる旅費が当初予定より節約できたことから、次年度へ繰り越した。本年度実施予定のシミュレーションに必要な計算機や実験、分析に必要な試薬等を購入する計画であり、その費用に充てる予定である。
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