2018 Fiscal Year Research-status Report
フルオラス溶媒とイオン液体を抽出媒体としたトリウム燃料再処理への適用性検討
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18K19047
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| Research Institution | Tokai University |
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Principal Investigator |
浅沼 徳子 東海大学, 工学部, 准教授 (70439660)
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| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲津 敏行 東海大学, 工学部, 教授 (70151579)
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| Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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| Keywords | 溶媒抽出 / フルオラス溶媒 / イオン液体 / セリウム |
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| Outline of Annual Research Achievements |
トリウム燃料再処理法としてリン酸トリブチルを抽出剤に用いた溶媒抽出法が知られており、本研究では、新規抽出溶媒としてイオン液体やフルオラス溶媒の適用性を検討している。今年度は、イオン液体と硝酸水溶液間の抽出系について、Th(IV)の代わりにCe(IV)を模擬元素として抽出挙動を検討した。また、分離性能を比較するため、Ce(III)の抽出挙動も合わせて検討した。疎水性イオン液体として、イミダゾリウム型イオン液体とピロリジニウム型イオン液体を使用した。抽出剤を使用せずに、イオン液体と硝酸水溶液系での抽出挙動を検討した結果、硝酸濃度が低いとCe(IV)の抽出率は低いが、硝酸濃度の増加と共に抽出率は上昇し、3M以上の硝酸濃度で抽出率は80%を超えることが分かった。一方、Ce(III)は硝酸濃度に関わらず、ほとんど抽出されないことが分かった。さらに、リン酸トリブチルを抽出剤に使用し、イオン液体によるCe(IV)の抽出挙動を検討した結果、抽出率の硝酸濃度依存性に大きな変化は見られなかった。しかし、一般有機溶媒であるドデカンを抽出媒体に使用した時よりも、イオン液体を用いた方が抽出率は高い値となった。このことは、イオン液体の電解質媒体としての特徴により、抽出錯イオンの溶解性が高くなることが要因と推察する。当初、Ce(IV)の抽出には抽出剤の使用が必須と考えていたが、イオン液体単独で高濃度硝酸水溶液からCe(IV)は抽出可能であり、イオン液体の特殊な抽出能が明らかになった。
フルオラス溶媒と水溶液間の溶媒抽出系について検討するための準備として、フルオラス化した抽出剤の合成を試みた。今年度は、リン酸トリブチルにノナフルオロブチル基を導入した抽出剤の合成に成功した。また、アクチノイドイオンの抽出剤として知られる、モノアミド型抽出剤のフルオラス化についても合成に着手した。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
イオン液体やフルオラス抽出剤の合成及び精製に時間を要した。また、Ce(IV)の抽出挙動を検討するに際し、Ce(IV)からCe(III)への還元反応が生じていることが明らかになったため、Ce(III)とCe(IV)の相互分析の手法を模索した。そのため、取得データの再検討を行い、有用な試験データとして評価するのに時間を要した。これまでの検討結果を基に、今後は加速度的に検討を進める予定である。
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| Strategy for Future Research Activity |
実施計画では、1)フルオラス溶媒と水溶液系、2)イオン液体と水溶液系、3)フルオラス溶媒とイオン液体系の3抽出系についてCe(IV)またはTh(IV)の抽出挙動を検討することになっている。これまでに、2)イオン液体と水溶液による抽出系について、基礎検討を行った段階である。また、トリウム燃料再処理への適用性を検討するためには、フッ化水素と硝酸の混酸水溶液から、Ce(IV)またはTh(IV)の抽出挙動を検討する必要がある。まずは硝酸単独系でのCe(IV)の抽出挙動を精査した後、フッ化水素を含む混酸系での抽出実験に着手する。
1)フルオラス溶媒と水溶液系については、フルオラス化した抽出剤として、ノナフルオロブチル基を導入したリン酸トリブチルを用いて、硝酸単独系でのCe(IV)の抽出挙動の基礎検討を行う。その他候補となる抽出剤についても、Ce(IV)の抽出挙動の検討を進める。検討した中で、最も効果的な抽出剤を用いて、フッ化水素と硝酸の混酸系での抽出挙動を検討する。
2)イオン液体と水溶液系については、硝酸単独系での抽出挙動を検討した段階である。今後、フッ化水素と硝酸の混酸水溶液による抽出挙動について検討を進める。
3)フルオラス溶媒とイオン液体の抽出系については、1)と2)で得られた抽出挙動に基づき、検討方針を決定する。予備的検討として、イオン液体へCe(IV)を溶解し、フルオラス溶媒相への抽出率を検討することで、金属錯イオンの分配挙動が把握できるものと考えられる。予備検討による分配挙動を把握した後、混酸水溶液からCe(IV)を抽出した実際のイオン液体相またはフルオラス溶媒相を用いて、分配挙動に関するデータを取得する。
以上の検討結果を基に、トリウム燃料再処理のための最適な抽出系を提案する。
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| Causes of Carryover |
当初計画に対し、初年度の実施状況がやや遅延した。その理由は、イオン液体やフルオラス抽出剤の準備に時間を要したことと、価数の異なるセリウムイオンの相互分析の方法を模索する必要が生じ、計画通りにデータを取得できなかったためである。遅延した分、今年度は加速度的に試験検討を実施し、計画通りに試験を完遂することを目指す。
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Research Products
(1 results)
