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2018 Fiscal Year Research-status Report

Photo-reaction control utilizing the vibrational polariton states

Research Project

Project/Area Number 18K19059
Research InstitutionNara Institute of Science and Technology

Principal Investigator

香月 浩之  奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 准教授 (10390642)

Project Period (FY) 2018-06-29 – 2020-03-31
Keywords振動ポラリトン / 中赤外レーザー / 強結合
Outline of Annual Research Achievements

振動ポラリトン状態の実現へ向けて、試料の作成と実験光学系の製作を行った。試料の作成に関しては、石英窓板に薄く金を蒸着したキャビティ用ミラーの作成を行った。これまでの予備実験で、保護膜を成膜せず金の薄膜を張っただけの状態では、液体試料を流すとすぐに金薄膜が剥がれてしまい、実用に耐えない状態であったため、外部の業者に依頼して保護膜付きの金蒸着ミラーを製作した。向かい合わせにしたミラーの間に厚さ13μmのスペーサーを挟み、外部のサーキュレータと接続することで、連続的に液体試料を循環させることに成功した。試料の粘度によって困難が生じる可能性もあるが、アルコール系の溶媒では問題なく循環ができている。
光学系については、波長3~8μmあたりの中赤外光を発生させるため、フェムト秒チタンサファイア再生増幅光源からの出力をOPAでシグナル光、アイドラー光の近赤外光に変換したのち、さらに両者の差周波をAgGaS2で発生させた。空気中の水分の影響を大きく受ける波長領域であるため、実験光学系は窒素で充填できる密閉性の良いケース内に作成し、ケース内部で差周波発生から試料の透過、その後の分光器による計測までを行えるように設計した。現在、波長6μmにおいて5mW程度の出力を得ており、今後の実験に十分な強度を確保することができた。H30年度の予算からMCT検知器を購入し、分光器の検出ポートに固定することで、中赤外光を検出できることも確認した。ディテクタが1チャンネルであるため、スペクトルの測定には分光器のグレーティングを回転させて測定を行う必要があるため、LABVIEWによるプログラムを作成しスペクトルの計測が自動で可能となるようにした。実際に6μm周辺での中赤外スペクトルをMCT検知器によって測定し、水の吸収を確認することができた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

10μm程度の薄い厚さを持った液体用マイクロキャビティの製作とその試運転に成功した。測定に利用する波長可変中赤外光発生装置を自ら設計し、シグナル光とアイドラー光のタイミングをピエゾアクチュエータで制御することで、十分な強度の中赤外光を発生させることに成功した。また、中赤外光の検出に用いるMCT検知器と分光器を組み合わせ、自動的にグレーティングの角度を掃引できるプログラムを作成し、中赤外領域の吸収スペクトルを測定できる光学系の作成を完了した。
以上のことは全て、これから取り掛かるポラリトンの評価実験に必要な要素であり、それらの全てを短期間の間に立ち上げることができた。新年度において、強結合振動ポラリトン状態を検出するための準備が整ったということができる。

Strategy for Future Research Activity

新年度には、まず振動バンドの強結合形成による分裂構造を観測する。入射角度を掃引することで、反交差型の分散スペクトルが得られるはずであり、その解析からポラリトンの生成を確認する。下枝及び上枝ポラリトンが観測された場合には(1)時間分解アップコンバージョンによる時間ダイナミクス計測、(2)中赤外光をダブルパルスにすることで、下枝及び上枝ポラリトンのラムゼイフリンジ計測の実施の二つを目標に実験を試みる。どちらもこれまでに報告のない新しい手法であり、今後の振動ポラリトン研究に重要であると考えている。現在行われている振動ポラリトンの研究では、FTIR光源のような弱い光を利用した実験が多数を占めているため、フェムト秒の高出力中赤外レーザーを利用できる私の装置では、高振動量子数状態の生成など、独自性の高い研究を行える利点があるため、そのような研究にも挑戦していきたいと考えている。

Causes of Carryover

(理由)
強結合状態の観測を行い、ポラリトンの相互作用パラメータを見積もった上で、現在のより金薄膜の厚さを厚く、または薄くしたキャビティミラーを設計して外注する予定であるため、そのための予算として414,551円を翌年度分に請求した。
(使用計画)
2種類の異なる厚さのキャビティミラー(各10枚)を発注する予定である。そのための窓板購入費及び成膜外注費用として計上する。

  • Research Products

    (1 results)

All 2018

All Presentation (1 results) (of which Invited: 1 results)

  • [Presentation] コヒーレント制御の多面的展開へ向けて2018

    • Author(s)
      香月浩之
    • Organizer
      日本分光学会関西支部講演会
    • Invited

URL: 

Published: 2019-12-27  

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