2019 Fiscal Year Annual Research Report
Photo-reaction control utilizing the vibrational polariton states
Project/Area Number |
18K19059
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
香月 浩之 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 准教授 (10390642)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | 振動ポラリトン / 強結合状態 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、分子の振動遷移とそれと共鳴する中赤外波長の光子が結合して生成する振動ポラリトン状態を実現し、化学反応制御へ向けた応用を探った。キャビティミラーとして外注して作成した石英板に金と保護膜のAl2O3を積層したミラーを用いることで、有機液体試料を用いた実験でも十分な耐久が得られた。また、薄膜の厚さの評価手法について、近赤外領域での透過率を測定することで、再現性のある安定した膜厚が得られるようになった。このミラー2枚にスペーサーを挟み、液体試料を封じることで振動ポラリトンの作成を試みた。キャビティモードと振動遷移を共鳴させるにはキャビティ長を微調整することが必須であり、異なる厚みのスペーサーと外部から加える圧力を変えることで実現できた。FTIR分光器を用い、吸収スペクトルを測定すると、上枝、下枝ポラリトンによる分裂した吸収が観測され、角度分解透過スペクトル測定では角度に依存した分散も観測された。得られた結果を解析して、ラビ分裂パラメータを見積もることに成功した。 この結果をもとに、DPPA(ジフェニルリン酸アジド)を試料として、異なる溶媒(DMF, アセトン, THF)との混和溶液を用い、ラビ分裂パラメータの変化を評価した。ラビ分裂パラメータは試料の濃度や屈折率、分子配向などに依存する。また、周囲に存在する溶媒の分極率も影響を与えると考えられる。上に示した3種の溶媒に対して、neat liquidから様々な濃度に希釈された溶液で角度分解透過スペクトル測定を行い、ラビ分裂パラメータの濃度依存性を計測し、溶媒によって異なった濃度依存性曲線が観測された。現在この結果について、混合溶液の屈折率変化などをもとに考察中である。
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