2020 Fiscal Year Annual Research Report
Development of ambient-pressure ultrasoft x-ray surface XAFS and application to operando observation of catalytic reactions under ambient pressure conditions
Project/Area Number |
18K19064
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
近藤 寛 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (80302800)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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Keywords | X線吸収微細構造 / 極端軟X線 / 大気圧 / 触媒・化学プロセス / 表面・界面物性 / 量子ビーム / 化学物理 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、昨年度初めて達成した転換電子収量法による大気圧極端軟X線XAFSの測定の方法論の確立と本手法の特性の詳細把握を目指して研究を遂行した。 まず、技術的な問題として真空と大気圧を仕切る金電極付きSiC膜(100 nm厚)が破断しやすく安定に測定できない問題を解決するために、真空と大気圧空間の間にHeパスを設けてSiC膜を保護し、Heパスと大気をより厚いSi3N4膜(200 nm厚)で仕切った。これにより、大気圧下で安定して測定することが可能になった。さらに、200 nm厚のSi3N4膜1枚で真空と大気圧を十分安定して仕切れることがわかったので、Heパスを無くし、この膜から0.1 mm離れたところに自作の電子収量金電極を設置して実験を行ったところ、全く問題なく簡便に測定できることが確認できた。 安定して測定ができるようになったセルを用いて、SUS、TiN、Nafion、テフロンなどいくつかの標準試料の大気圧極端軟X線XAFS測定を行ってそのスペクトルの特性を調べた。その結果、SUS表面の鉄酸化物のように2価と3価をとりうる試料に対しては、収量電極にかけるバイアス電圧の符号を変えることによって、正のバイアスをかけたときには鉄の還元が起こり、負のバイアス電圧をかけたときは鉄の酸化が起こることを見出した。その速度は、かけるバイアス電圧の絶対値に依存して変化した。セル内でX線誘起の電気化学的酸化還元が起きているものと推定された。また、テフロンのような絶縁体材料に対しても良好なXAFSスペクトルが測定できることを確認できた。 以上のように、全研究期間を通してセルの作製および繰り返し改良を重ねた結果、簡便に大気圧極端軟X線XAFSを測定することができる装置を開発することができ、その特性を明らかにすることができた。
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