2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K19072
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
石原 一彰 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (40221759)
|
Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
|
Keywords | オリゴペプチド / 脱水縮合 / 触媒 / アミド / ボロン酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
オリゴペプチドをα-アミノ酸の触媒的脱水縮合によって合成する手法の開発を本研究目的とする。 初年度はジペプチド合成に有効な脱水縮合触媒の探索を目的に様々なボロン酸をスクリーニングした。その結果、最近見つけた2,4-ビス(トリフルオロメチル)フェニルボロン酸に加え、新たに3,5-ジメトキシ-2-ヨードフェニル酸に高い触媒活性があることが明らかとなった。フェニルボロン酸のメタ位にアルコキ基を導入すると、その誘起効果によってホウ素のLewis酸性が向上すると考えている。また、オルト位のヨード置換基についてはホウ素中心へのアミン基質への配位による触媒失活を立体障害によって防ぐ効果があるものと考えている。これらのボロン酸触媒を10 mol%用いて、加熱脱水条件下、中程度の収率でジペプチドを合成することに成功した。生成物のエピ化については5%程度確認されており、最終的にはエピ化を1%未満に抑える必要がある。 原料として用いるα-アミノ酸のN-保護基やα-側鎖が反応性に大きな影響を与えることがわかった。基質によってボロン酸の触媒活性が異なるので使い分ける必要がある。しかし、どのような基質に対しどのようなボロン酸が最適なのかはまだ解明できていない。また、α-アミノ酸の塩酸塩を基質に用いると若干ではあるが、反応収率が向上することがわかった。この酸の役割についてはまだ解明できておらず、塩酸以外にも効果的な酸がある可能性があり、引き続き検討を行う。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概ね順調に進展している。具体的には、ジペプチド合成に有効なボロン酸触媒が新たに見つかったこと、添加剤としての酸の効果があることなどの進展があった。次年度も引き続き検討していく予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
まだ十分な触媒活性を有するボロン酸を見つけるに至っていないので、引き続きボロン酸触媒の探索と設計に取り組む。二核のホウ素錯体が触媒として有効であるという報告が既になされているので、現在得られている実験結果を元に二核化するような分子設計を積極的に行っていきたい。また、酸の効果については我々が独自に得た知見であり、この酸の役割と最適な酸性物質について詳細に検討していきたい。
|