2019 Fiscal Year Annual Research Report
Photo-induced generation of highly acidic species for the development of C-C bond-forming reaction
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18K19073
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
大松 亨介 名古屋大学, 工学研究科(WPI), 特任准教授 (00508997)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | ラジカルイオン / 酸性度 / 光レドックス触媒 / ブレンステッド酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に引き続きシリルエノールエーテルのラジカルカチオンの特性を活かした反応開発を行った。ラジカルカチオンのアリル位のC-Hは非常に高い酸性度を有しており、計算化学的手法によって見積もったそのpKa値はアセトニトリル中で8.9であった。この値は同溶媒中におけるp-トルエンスルホン酸のpka値(8.6)とほぼ同等であることから、ラジカルカチオンがいかに酸性であるかが分かる。前年度報告した反応では、ラジカルカチオンを求核的な炭素ラジカルを与える前駆体として利用したのみであったが、高い酸性度に改めて注目すると、求核種前駆体であると同時に、求電子剤を活性化する酸として機能を発揮させられると考えた。 この考えのもと、光レドックス触媒であるIr錯体存在下、青色LED照射下でケテンシリルアセタールとビニルピリジン類縁体を反応させたところ、高収率でα位がアルキル化された生成物が得られた。ビニルピリジン類縁体がラジカルカチオンの脱プロトン化を担うことで、ビニルピリジンは求電子的なピリジニウムイオンとなり、ラジカルカチオンからは求核的な炭素ラジカルが生成する。脱プロトンの素過程が、求電子剤と求核剤の双方を同時に活性化するトリガーとなり、結合形成が進行していると想定される。比較実験として、2,4,6-コリジンを塩基として1当量加えて反応を行ったところ、全く生成物が得られなかったことから、ビニルピリジンのプロトン化が反応進行に必須であることが窺えた。また、ビニルピリジンの代わりにプロトン受容能のないスチレン類縁体を基質として用いた場合も全く反応が進行しなかった。この結果は、ラジカルカチオンのプロトンによる活性化が重要であることを示している。
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