2018 Fiscal Year Research-status Report
Creation of High-order Structures Based on Cycloparaphenylene Radical Cations and Dications and Elucidation of their Function
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18K19075
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
茅原 栄一 京都大学, 化学研究所, 助教 (10610553)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | ラジカルカチオン / ジカチオン / シクロパラフェニレン / 化学酸化 / 環状π共役分子 |
Outline of Annual Research Achievements |
π共役系分子の(ラジカル)イオン種は、有機電子デバイスにおける導電性と密接に関係する化学種である。そのため、それらの分子構造、電子状態の解明や、デバイス特性との関連性を明らかにすることは基礎化学研究として重要である。応募者らは、フラーレンやアームチェアカーボンナノチューブの最小環状構成単位であるシクロパラフェニレン(CPP)をはじめとした環状π共役分子の合成研究と物性解明を進めており、それら分子の材料としての利用の途を拓くべく研究を進めている。このような取り組みの中で、研究代表者らは、CPPの導電性と関係するラジカルカチオンおよびジカチオンの初めての単離・同定に成功し、中性では発現しない構造特性、電子状態、光物性、さらにはジカチオン状態におけるユニークな芳香族性を明らかにしている。加えて、大気中で扱える十分な安定性を有していることから、有機半導体材料として高いポテンシャルを秘めていると考えらえる。このような背景のもと、環状π共役分子の酸化種に対する学術的理解を深めるとともに、その化学を物理有機化学の枠を超えて材料化学分野に展開することが目的である。 本年度は、CPP上の置換基がCPPの酸化状態に及ぼす影響を明らかにするために、研究代表者らが合成に成功している4つのアルコキシ基を持つ、テトラアルコキシ[10]CPP誘導体の化学酸化について検討を行った。その結果、適切な酸化剤を用いることで、そのジカチオンの合成と同定に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究成果発表等が順調に進んでいるため。
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Strategy for Future Research Activity |
異なる置換基を持つCPP誘導体を合成し、その化学酸化について検討を行う。さらに、その酸化種におけるスピンや電荷の振る舞いなどを分光化学的手法や理論計算を用いて明らかにすることで、CPP上の置換基が、CPPの酸化状態における物性に及ぼす影響を明らかにする。 さらに、新しいスピン・電荷分布状態の創出を目的に、中性・酸化状態のCPPの2つの電子状態を組み合わせた、ホストーゲスト錯体の形成についても検討を行う。
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